「デジマの優等生」マクドナルドに学ぶ、デジタルメディアと店頭を連動させる方法

野澤正毅
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マクドナルドのデジマがお客に刺さる、3つの理由

裏メニュー発表時のニュースリリース。メディアがつい紹介したくなる、ネタや新規性を盛り込んでいる点が秀逸だ

 マクドナルドの裏メニューを、菅原氏が評価しているポイントがいくつかある。1つめは、話題作りの巧みさだ。

 「ニュースリリースを一つとっても、メディアが取り上げたくなるような見出し(タイトル)になっているんです。例えば、普通に“4種類のトッピング”と記載するのではなく、“トッピングの組み合わせで、1124とおりの味が楽しめます”といった具合に謳うんですね。すると、実際に試して記事にしたくなってきます」

 菅原氏は、てりやきマックバーガーといった“既存のネタ”を使いながら、トッピングという一ひねりを加えることで、「新味を出せるところも凄腕ですね」と絶賛。

 「定番のメニューはニュース性が乏しいのですが、そこに再び光を当てて、需要を底上げするというアイデアは、販促を考える上で大きなヒントになります」。

 2つ目は、SNSを使いこなしている点。菅原氏は、「SNSでの拡散を狙って、ネット上で話題になりそうな打ち出し方をしていますね」と指摘する。マクドナルドは、裏メニューのほかにも、「売上№1 VS 人気№1」といった売上を競う“メニュー対決型”の企画で、注目を集める手法が得意だという。

「SNSにもいくつか種類があるわけですが、中でもツイッターは、情報を急速に拡散させる力が強いので、リツイートの機能を活用したキャンペーンを展開しているようですね」。

 3つ目は、デジマのストーリーを組み立てている点。「我々も販促のときは、いつ、どんな仕掛けをするかというプランを事前によく練るのですが、マクドナルドはそうしたツボの押さえ方も秀逸」と菅原氏。

 情報がデジタルメディアで広がる流れとしては、SNSの公式アカウントで発表→ニュースサイトや人気ブロガーによる配信→SNSでの拡散→まとめサイトによるさらなる拡散といったパターンが考えられるが、「情報拡散までのタイムラグを計算して、公式アカウントでの情報発信のタイミングを決めたりしているようです。また、店頭でも媒体を用意するなど、裏メニューへの対応をしっかり準備しているようです」。

小売業はPBがデジマ活用のポイントになる

 その一方で、小売業界では、残念ながら、デジマの成功事例が少ない。「外食店チェーンは、基本的にオリジナルのメニューなので取り組みやすいのですが、小売業の場合、ブランドショップなどはともかく、独自の商品やサービスが限定されるので、デジマ販促も企画が難しいのでしょう」と、菅原氏は説明する。

D2C dotプロデュース1部 プランナーの菅原太郎氏
D2C dotプロデュース1部プランナー/プロデューサーの菅原太郎氏

 ただし、一部のコンビニエンスストアでは成功事例も出てきているという。菅原氏は、ローソンの例を挙げた。

 「例えば、『悪魔のおにぎり』というプライベートブランド(PB)のおにぎりがあるのですが、『悪魔のおにぎり』という商品名、「やみつき注意!!」「悪魔的うまさ」というキャッチコピー、そしてパッケージにも悪魔のキャラクターのイラストなどSNSで取り上げたくなる要素が詰まっており、“コンビニのおにぎりでは前代未聞”とネットで評判になり、ヒットしたそうです」。

 PBや総菜といったオリジナル商品ならば、デジマを活用して、ヒット商品に育てる余地も大きいようだ。

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