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食品スーパーがリテールメディアに参入するうえで、決定的に不足しているものとは

リテールメディアバナー

他媒体と比べて、広告効果が可視化・検証できることから、広告主であるメーカーからも期待されるリテールメディア。では、広告を主戦場とする広告会社にとって、リテールメディアとはどのような存在なのか。総合広告会社大手の博報堂(東京都/水島正幸社長)にリテールメディアが直面する課題と今後の展望を解説してもらった。

デジタル接点の拡大に伴い、あらゆるポイントがメディア化

 小売業における顧客接点は、従来、店舗のみに限られていたが、近年はECやスマホアプリなど、デジタル接点が拡大し、「プリストア(来店前)」「インストア(店内)」「ポストストア(買物後)」を通して顧客と接するあらゆるポイントがメディア化している。

左・博報堂ショッパーマーケティング事業局局長の徳久真也氏
右・同事業局局長代理の松居達也氏

 これらを総称した「リテールメディア」の特徴について、博報堂ショッパーマーケティング事業局局長の徳久真也氏は「クッキーレスの時代において、小売業は顧客のIDを保有しているプラットフォーマーのひとつ。購買履歴に基づくターゲティングやマーケティング施策の効果検証ができる点で、リテールメディアはほかのデジタルメディアにはない強みを持つ」と解説する。

 店舗に設置されるデジタルサイネージはリテールメディアの代表格だ。現時点ではレジ付近にデジタルサイネージを設置し、テレビCMなどの既存コンテンツを繰り返し配信する形態が主流だが、デジタルサイネージを売場に設置し、適切な情報を露出することで売上が拡大した事例もある。とりわけ売場を主戦場とする一般消費財メーカーでは「売場で情報を発信したい」とのニーズが高いという。

 また、スマホアプリを軸としたリテールメディアも注目を集めつつある。スマホアプリに多くのユーザーがアクセスし、トラフィックが生まれると、メディア価値が出て、その広告枠をメーカーに開放できる。近年、小売業界では「LINEミニアプリ」でスマホアプリを擬似的に立ち上げる動きが広がっており、アプリを介した顧客とのデジタル接点が増えてきた。徳久氏は「これらをいかにメディア化できるかがポイントだ」と指摘する。

近年はLINEが提供する「LINEミニアプリ」で自社アプリを擬似的に立ち上げる動きが広がっており、メディアとしての活用に期待が集まっている。写真は丸久(山口県/田中康男社長)が運営する「LINEミニアプリ」の画面

「リテールメディア市場はまだ成立していない」

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