クレーンゲームのアドバイスにもDX? ゲームセンターGiGOの店舗改革

染谷 剛史 (HataLuck and Person代表取締役)
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ゲーム機の修理対応がスムーズに

 前述の通り、アミューズメント施設ではVR系を含め高度なエンターテイメントを体験できるゲームを数多く揃えており、故障した際には必然的に複雑な知識とメンテナンスの技量が求められます。各エリアに配置された専任の社員はメカニックの専門知識がありますが、現場で立ち会う社員やシフトワーカーは、全ての機械を熟知しているわけではありません。

 ゲーム機の稼働ストップは売上ロスに直結するため、早期修復が急務です。どこをいじれば稼働するのか、部品交換が必要なのか、1秒でも早く判断する必要があります。これを可能にするのがデジタルツールによる情報共有です。デジタルツールを活用することで、現場スタッフが該当機種のメンテナンス方法や注意事項をすぐに確認できるほか、店舗内にノウハウや知見がない場合は店舗外の整備士と素早く連携し、スピーディーに対応できるような仕組みを整えました。

メンテナンスに関するスピーディなコミュニケーション
メンテナンスに関するスピーディなコミュニケーション

 デジタルツールが効果を発揮するのは修理対応だけではありません。有効活用例の1つとして「クレーンゲーム」をご紹介します。簡単に手に入る景品もあれば、スキルで獲得率が大きく左右される景品もあり、天地がひっくり返っても獲得困難と感じる景品もあります。

 景品にはもちろん原価があるため、獲得難易度は店舗が設定しています。たとえば、1100円のクレーンゲームに原価500円の商品を配置する場合、その難易度(合計何回程度で、どう操作すれば景品を獲得できるのか)は、一部の社員だけでなく、現場の従業員も把握しておく必要があります。なぜなら、従業員のアドバイスで景品を獲得できた場合、お客さまは「感謝の気持ち」を持ちやすく、お店のファンになる確率が上がるからです。大規模店舗では200台を超えるクレーンゲームがあるため、各設定状況をデジタルな手段を使わずに共有し、スタッフ全員が把握することは、ほぼ不可能でしょう。

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記事執筆者

染谷 剛史 / HataLuck and Person代表取締役
1976年、茨城県生まれ。大学卒業後リクルートグループに入社。アルバイト・パートの求人広告営業を経て、営業企画・商品開発を担当。2003年、株式会社リンクアンドモチベーションに入社し、サービス業の採用・組織コンサルティングに従事。2012年に同社の執行役員に就任し、新規事業開発やカンパニー長を歴任した後、2017年にナレッジ・マーチャントワークス(現HataLuck and Person)を設立。
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