独自のスマートショッピングカート(SSC)によるリテールDX

2022/07/12 18:32
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独自のスマートショッピングカート(SSC)によるリテールDX 「レジに人がいて会計するのが過去になる」
Retail AI永田氏

株式会社Retail AI
代表取締役社長
永田 洋幸 氏

 

「新時代の買物体験」と「流通の仕組みを革新」の2軸

Retail AIグループが掲げる企業ビジョンは「テクノロジーによって、新時代の買物体験を生み出し、流通の仕組みを革新する」である。会社設立は2018年だが15年から親会社のTRIAL内で主力のスマートショッピングカート(SSC)の開発を開始した。Retail AIグループは実現したいリテールのエコシステムを2軸で考えている。ひとつは「新時代の買物体験」でSSCやAIカメラで収集したデータをAIで分析しレコメンドやクーポン、ダイナミックプライシングといった施策に反映する。もう一つの軸はAIで分析した情報を他の小売業やメーカーと共有し、それらからもたらされる情報もAIで分析することで「流通の仕組み革新」していくというエコシステムだ。

Retail AIグループが実現するエコシステム

そのエコシステムを支えるのがスマートストアテクノロジーであり、IoTデバイスとしてのAIカメラやSSC、サイネージやアプリ、カートタブレットといったメディアで、新しい買物体験を創造し、独自に作ったMaker-Linkで流通の仕組みを革新する。そのデータをフィードバックしお客様にメディアを通じて商品を訴求できる。

TRIAL店舗でのSSC利用率は40%超

スマートショッピングカートの歩み

15年に始まったRetail AIのSSC開発は、17年までTRIALグループ内でテスト運用を開始。1号機は社内システムを利用したクーポン配信のみで、2号機からタブレットを搭載、Ver0.5でPOS機能の利用を開始した。そこでのテストから18年に会社を設立しSSCの外販を視野に入れた開発を開始。POCなどテストを繰り返し、改良を重ねた。19年までにVer1.0でPOS機能にクーポンシステムを追加、さらにスキャン忘れなどを防止するハンドスキャナーを追加し、簡単に充電できる機能を強化するなどしたVer2.0にアップデートした。20年からは小型・中型の新モデルを開発し同じ九州のスーパーマーケット企業に外販を開始したほかUI/UXも進化させている。

リアル店舗でのレジ待ちを解消できることで、利用台数は飛躍的に増大している。米国Amazon Goがシアトルで開店が話題になった18年には、福岡アイランドシティで200台が稼働開始。19年には13店舗で1200台、20年には23店舗で2500台となり、初めてグループ外にも販売。21年は63店舗で6500台稼働しているほか、2つ目のグループ外での導入が始まっている。

流通業にとって少子高齢化という市場環境変化の影響も大きいが、レジ待ち解消のためのチェッカー増員といった人件費増大の課題を解決するとともに、新たな買物体験を提供するという目的からSSCの需要が高まっている。

これまでTRIAL店舗内でのSSCの利用状況は、平均で41.2%と高い。海外事例では10~20%と言われているので、非常に高い利用率だ。しかも昼から夕方の時間帯では利用率が6割に高まり、店舗によってはSSCの取り合いが起きている。そして我々も意外だったが、50代の利用率が51.0%と、20代や30~40代を抑えて高いことがわかった。

福岡・宮若市を「リテールテックのまち」に

TRIAL店舗での実績では、来店頻度向上にも効果があった。SSC導入後には、平均して来店頻度が13.8%向上した。レジ待ち時間はセルフレジ125秒、有人レジ75秒なのに対して、SSCは32秒で決済が済む。こうしたことから回転率が高まり、駐車場の回転も良くなっていると感じている。またAIによる分析でお客様が欲しい商品をリコメンドでき、さらにデータが溜まることでAIの分析の精度も高まっている。

Retail AIはSSCの導入を促進するため、導入コストが高い売り切りシステムではなく、初期費用のハードルを下げられる月額制のサブスクリプションによるサービス提供を開始している。

リテールDX実現に不可欠なのは、現場での運用を基点に機器やサービスの設計・運用・意思決定を行う「オペレーションドリブン」、既存システムに無理なく新システムを馴染ませていく「レトロフィット」、他の流通業やメーカーなどと連携しデータやノウハウを共有する「オープンイノベーション」だと考えている。そこで福岡県宮若市に21年10月に開店したTRIAL宮田店を中心に、要素技術を開発するTRAIAL IoT Lab、業界をまたいだ開発者を集めたMUSUBU AI、実証実験を行うテストベッドを提供しPDCAサイクルを回していく。地方から新しいテクノロジーを普及させていくことを目的に、宮若市を「リテールテックのまち」として地方創生に貢献していく考えだ。

※このレポートは2022年4月22日に配信した「DCSオンラインカンファレンス」の講演内容をダイヤモンド・リテイルメディア流通マーケティング局がまとめたものです

またイベントの様子はこちらからもご覧いただけます。

マクニカレポート記事: https://www.macnica.co.jp/business/semiconductor/articles/nvidia/141179/

<問い合わせ先>
株式会社マクニカ クラビスカンパニー NVIDIA製品担当 
Email:clvinfo@macnica.co.jp
URL:https://www.macnica.co.jp/business/semiconductor/support/contact/

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