4つの技術とローカライズの食体験 新業態「トライアルGO」を徹底解説

取材・文:雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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トライアルホールディングス(福岡県/亀田晃一社長:以下、トライアル)傘下のトライアルカンパニー(同/石橋亮太社長)は4月20日、福岡県内に次世代型スマートストア「トライアルGO脇田店 in みやわかの郷」(以下、脇田店)をオープンした。最新技術をフル導入し、ローコスト運営のレベルを一段引き上げた戦略的店舗であるだけでなく、「ローカライズ」「地産地消」という切り口の店づくりを行う、チャレンジングな店でもある。

トライアルの戦略拠点に小型スマートストアを開業

 脇田店は、福岡県福岡市と北九州市のちょうど中間、筑豊地方に属する宮若市内に位置する。トライアルは20年9月、同市と連携して「リテールAI」の研究開発拠点を中心とした街づくりのプロジェクト「リモートワークタウン ムスブ宮若」の構想を発表。人口減少などによって廃校となった学校や、閉業した商業施設の建物をリノベーションし、トライアルのオフィスや研究開発拠点、店舗、飲食店、宿泊施設などを展開するという内容だった。

 その後段階的に各施設が稼働を開始。昨年10月には「スーパーセンタートライアル宮田店」をオープンし、研究開発拠点と店舗が近接することでリテールAIの開発スピードを加速させている。

トライアルGO脇田店inみやわかの郷
福岡県宮若市にオープンした「トライアルGO脇田店inみやわかの郷」

店舗概要
●住所: 福岡県宮若市脇田355
●営業時間: 24時間
●売場面積: 約300坪
●アクセス: 九州自動車道「若宮」インターチェンジからクルマで約12分

 そして今回、この宮若の地に新たにオープンしたのが脇田店だ。昨年7月に稼働を開始し、トライアルだけでなく取引先の食品・消費財メーカーなども入居するオープンイノベーション型のAI開発拠点「MUSUBU AI(ムスブAI )」の隣接地に開業した。

 「トライアルGO」という屋号では、今年2月に既存店を改装するかたちで「トライアルGO稲築(いなつき)店」(福岡県嘉麻市)がオープンしている。ただしトライアル広報担当者によると同店は実験的な要素の強い店舗であり、実質的には脇田店が1号店の位置づけになるという。

 脇田店の売場面積は約300坪と、スーパーセンター(SuC)を主力業態とするトライアルにとっては小型店の位置づけとなる。トライアルが持つ最新技術を全面的に導入し、ローコスト運営のレベルをより高めたフォーマットとなっている。

 なお脇田店は宮若市との連携協定のもと、施設自体は同市の保有、トライアルは運営権を保有するかたち。脇田店の店内はトライアルの売場のほか、宮若市が運営する直売所「農業観光振興センター みやわかの郷」が併設されている。後述するセルフレジやスマートショッピングカートは直売所の商品にも対応しており、利用客はシームレスに買物を楽しむことができるようになっている。

「顔認証」「自動値下げ」革新的な新技術を導入

 脇田店に導入された

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取材・文

雪元 史章 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

上智大学外国語学部(スペイン語専攻)卒業後、運輸・交通系の出版社を経て2016年ダイヤモンド・フリードマン社(現 ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。企業特集(直近では大創産業、クスリのアオキ、トライアルカンパニー、万代など)、エリア調査・ストアコンパリゾン、ドラッグストアの食品戦略、海外小売市場などを主に担当。趣味は無計画な旅行、サウナ、キャンプ。好きな食べ物はケバブとスペイン料理。全都道府県を2回以上訪問(宿泊)。

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