PPIH、LTV向上を見据え大学に初の無人小型店を出店!
パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(東京都:以下、PPIH)は、完全無人・キャッシュレス型の小型店舗の第1号として「キャンパスドンキ大阪電通大店」(大阪府寝屋川市、以下、大阪電通大店)を開業した。入退店や決済のすべてをデジタル化し、レジや従業員を介さずに買物が完結する運営モデルを実現。購買データの収集・分析も可能な環境を整えている。オープン日の模様をレポートするとともにPPIHの戦略に迫る。

大学内に店舗を構えた理由とは…?
PPIHは7月1日、大阪電気通信大学 寝屋川キャンパス内に、グループの主力業態である「ドン・キホーテ」の無人小型店舗である大阪電通大店を開業した。店舗面積は約15㎡で、菓子、飲料、総菜、冷凍食品、生活消耗品、文房具に加え、同社のオリジナル商品「情熱価格」や「偏愛めし」など、約450SKUを取り扱う。

同店の最大の特徴は、PPIHとして初めての「完全無人・キャッシュレス型」の小型店舗である点だ。店舗システムには、NTTデータ(東京都)が提供する無人店舗プラットフォーム「Catch&Go」を採用。LINEミニアプリと連携した二次元バーコードによる入退店管理に加え、AIカメラと棚の重量センサーを組み合わせることで、レジを介さず決済が完了するシームレスな購買体験を提供している。決済手段はクレジットカードとPayPayの2種類のみで、現金には対応していない。LINEミニアプリを通じた会員連携により、購買履歴の閲覧やレシートの取得も可能である。

大学キャンパス内というクローズドな環境を出店先として選んだ理由について、PPIH新規業態開発本部の新規業態プロジェクト部責任者マネージャーの佐藤大祐氏は「若年層との長期的な関係性を築くため」であり、「ライフタイムバリューの観点から、学生時代に接点を持つことで、将来的にドン・キホーテのロイヤルカスタマーとなる可能性がある」と述べる。

PPIHは同店を「新たな購買体験の提供拠点」と位置づけており、今後は大学との共同企画やイベント連動、購買データを活用した商品提案など、学生との中長期的な関係構築を視野に入れた取り組みを強化していく方針である。
プレオープンからわずか1週間でLINE会員数は1000人を超え、大学の在籍者約3500人のうち3分の1が登録済みであることから、「想定以上の集客効果が得られている」と佐藤氏は力を込める。
収益面では、有人店舗と仮定した場合と比較して人件費を約80%削減できると試算しており、「品出し・清掃・賞味期限チェックといった業務に限定することで、1日当たり2時間程度の稼働で運営が可能」(佐藤氏)としている。