新宿の無印2店舗を同時改装 インバウンド蒸発後の新宿で取り組む「地域活性化」の店づくりとは

取材・文:松尾 友幸 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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「無印良品」を運営する良品計画(東京都/堂前宣夫社長)は近年、地域の課題解決を目的に「個店経営」による地域活性化に取り組んでいる。2021年9月10日には「MUJI新宿」「無印良品 新宿」(ともに東京都新宿区)を同時リニューアルオープンし、同社初となる2店舗での地域活性化に挑戦する。

24時間利用できる自販機を設置

 今回の2店舗の改装は、24年8月期を最終年度とする良品計画の新たな中期経営計画にも盛り込まれている「個店経営」の実現の一環である。同社のいう「個店経営」とは、店舗が地域のコミュニティセンターとしての役割を持ち、各地域の課題解決への独自の取り組みなどを通じて地域活性化に貢献することを意味する。新宿エリアでは、近年の消費者ニーズの変化や、ごみ問題などの社会課題、コロナ禍での人の減少、飲食店の閉店などの課題を解決するために無印良品として何ができるか、新宿区役所をはじめ「伊勢丹新宿店」などの小売企業や飲食店、新宿駅そばにある観光協会などとの話し合いを重ねたうえで、改装を実施した。

無印良品 新宿
無印良品 新宿 店舗概要
●所在地: 〒160-0022 東京都新宿区新宿3-17-1いさみやビルB1~3F
●売場面積: 約992㎡
●営業時間: 11:00~21:00

 新宿通り沿いに位置し、1995年にオープンした「無印良品新宿」は、2006年以来2度目の大規模改装となる。コロナ禍では遠方や海外からの観光客が減ったことで、新宿では通勤・通学者や地域住民の比率が相対的に高まっている。そのため、今回の改装では日常生活に欠かせない基本的な商品に注力した。

 一方、靖国通り沿いに位置し、07年に衣服・雑貨に特化した店舗としてオープンした「MUJI新宿」は、開店当初のコンセプトを残しつつ、S D G sやESGに注力し、環境や社会の課題について考えるきっかけを提供するほか、アート・デザインをテーマとした雑貨や家具に特化した旗艦店となった。ごみ問題などの地域課題がある新宿から情報発信することで、そのイメージを一新させたい考えだ。また、これまでは品揃えが重複する部分もあったが、今回の改装を機に両店の役割を明確化し、地域活性化の一端を担う。

 まずは「無印良品 新宿」の取り組みについて見ていこう。

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取材・文

松尾 友幸 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

1992年1月、福岡県久留米市生まれ。翻訳会社勤務を経て、2019年4月、株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。流通・小売の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属。主に食品スーパーや総合スーパー、ディスカウントストアなど食品小売業の記者・編集者として記事の執筆・編集に携わる。趣味は旅行で、コロナ前は国内外問わずさまざまな場所を訪れている。学生時代はイタリア・トリノに約1年間留学していた。最近は体重の増加が気になっているが、運動する気にはなかなかなれない。

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