体験型店舗「メルカリステーション」の意味!リアル接点を重視するメルカリの顧客獲得戦略とは

「ダイヤモンド・チェーンストア」記者 若狭靖代
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オンラインサービスがオフラインでの接点を重視する理由

 メルカリは2019年から、サービスをより普及させるため、あえてオフラインで顧客と接点を持つことを意識してきた。同社の調査によれば、「(メルカリのサービスを)使ってみたいが、まだ使用するに至っていない」という潜在的顧客は3610万人にのぼり、この層の取り込みが今後の事業拡大のカギを握るとみている。

 ジャストシステム(東京都/関灘恭太郎社長)が運営するマーケティングリサーチサイト「Marketing Research Camp」が独自に行った、CtoCサービスの利用に関する調査「Eコマース&アプリコマース月次定点調査(2020年8月度)」(以下:Eコマース調査)によると、メルカリを「現在使用している」と答えたユーザーは男性47.9%に対し女性57.6%で、メルカリは女性から多く支持されていることがわかった。「マルイ」など比較的女性がよく訪れる場所への出店は、潜在的顧客の中でも感度の高い層へ働きかけ、何気なく立ち寄ってもらうところから利用へとつなげるのに役立ちそうだ。

 また、メルカリの調査によると、年代別1人あたりの平均月額売上額が最も高いのは意外にも60代で、20代女性の1万247円に対して60代女性では2万9788円と約3倍の開きがある。しかし、前述のEコマース調査によると、60代のユーザーは33.9%と全年代利用率51.8%を大きく下回る。利用の障壁になっているのは、新しいサービスへの「とっつきにくさ」や、「ネットでの売買に対する不安感」など、高年齢層が抱きやすい感覚だと考えられ、導入のハードルを下げ、対面でのサポートも受けられるメルカリステーションには、“高年齢層にも安心感して利用してもらえるサービス”としての認知向上効果も期待できそうだ。

メルカリステーション以外でも“体験”の提供を拡大

 新宿マルイ本館への出店に続き、7月には「ららテラス武蔵小杉」(神奈川県川崎市)にもメルカリステーションを新たにオープン。10月には、店舗の空きスペースなどへの出店を目的に、最小約2畳の面積で従来のサービスのうち主要なものを提供する、新フォーマットのメルカリステーションを「Panasonic KURA_THINK」(神奈川県藤沢市)内に出店した。今後も店舗数は増やしていく一方で、東京・神奈川のファミリーマート8店舗でメルカリポストとメルカリ教室設置の実証実験を行ったり、オンライン版メルカリ教室を開催したりと、メルカリステーションに限らず顧客に“体験”を提供できるルートを充実させていく構えだ。

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