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「東急ストアフードステーション宮前平駅前店」、改札前で“日常使い”できるミニスーパーを目指す

東急ストア(東京都/須田清社長)は11月20日、「東急ストアフードステーション宮前平駅前店」(神奈川県川崎市:以下、FS宮前平駅前店)をオープンした。「東急ストア」業態よりもコンパクトな店舗で、総菜・中食を重視した商品展開を行う「フードステーション」業態としては8店舗目の出店となる。

11月20日オープンした「東急ストアフードステーション宮前平駅前店」の店舗外観。改札の真正面に店舗入口が位置する。

改札すぐの好立地で単身・若い世代の取り込みを狙う

 FS宮前平駅前店は、東急田園都市線「宮前平」駅の改札を出てすぐの場所に位置する。改札の真正面のため、駅利用客の目に必ず触れる好立地だ。宮前平駅周辺は田園都市線各駅の中でも周辺人口の伸び率が良い地域で、それに伴って乗降客数も増加している。店舗から半径500m圏内の人口は約1万4000人/6500世帯で、単身・二人世帯の割合が62.4%と高い地域だ。また、39歳までの人口割合が50.7%、ファミリー世帯の割合が34.9%といずれも沿線と比べて高く、若い子育て世代や共働き世帯が周辺には多く住んでいる。

 売場面積は375㎡とコンパクトな造り。狭小店ながらも生鮮、総菜、酒・飲料、一般食品など一通りのラインアップを揃え、加えて日用品や生活雑貨も取り扱う。総SKU数は6872で、内訳は生鮮582SKU、デリカ250SKU、グロサリー4132SKU、その他1908SKUとなっている。周辺の競合SMには、宮前平駅から道路を渡ってすぐに「成城石井宮前平店」、約200mの距離に「いなげや川崎宮前平駅前店」がある。また、その業態から一部競合すると思われるコンビニエンスストア(CVS)は、200m圏内に大手3チェーンが顔を揃えている。

“日常使い”できるミニスーパー

 FS宮前平駅前店は、駅利用者向けの即食・簡便商品と、周辺居住者向けの生鮮商品の両方を充実させることをコンセプトに掲げる。駅利用者と周辺居住者の利用比率を5:5と想定し、日常的に利用される店舗として不足を感じさせない品揃えをめざしている。

精肉売場で展開するミールキット。「手軽」「簡単」をアピールする。

 即食・簡便商品では、総菜の需要が仕事帰りの駅利用客に集中することを踏まえ、夕方以降のラインアップを充実させた。単身世帯の男性客に向けた大盛り弁当や、複数の総菜がワンプレートになった「洋風セット」「和総菜セット」などを展開する。また、バックヤードが狭いなかでも総菜部門には厨房を設け、おかずやおつまみ類は18時まで出来立てを提供することで、周辺のCVSとの差別化を図っている。デリカ以外では、カット済み野菜や個食鍋、フライパンで炒めるだけで「国産鶏肉団子の黒酢炒め」や「エビとポテトのアヒージョ」などが完成する冷蔵・冷凍ミールキットを豊富に揃えた。これらの時短・簡便商品は通常の「東急ストア」業態と同様の品揃えで展開し、ここでもCVSとの違いを打ち出す。

店頭売場の様子。店舗の前は改札を抜けた客が左右に通り抜ける通路になっているため、通行客の目に止まりやすい。

 周辺居住者を主なターゲットとする生鮮部門では、買い物がここだけで完結するよう素材関連の品揃えに注力した。「東急ストア」とほぼ同様の商品構成とし、自分で一から調理をする顧客層の素材需要に応える。また、青果は駅構内を通行する客の目を引くよう、「農家さんのおすすめ市」と銘打って店頭陳列も実施。その日のおすすめや値下げ品などを陳列することで足を止めてもらい、入店のきっかけを作る。

買いやすさ重視の売場作り

 コンパクトな店舗ならではの工夫もある。店舗の狭さや圧迫感を緩和し、買い回りやすさを高めるために、陳列棚の高さを抑えて主導線となる通路の幅を十分確保した。また、立地からショートタイムショッピングの需要が高いため、欲しいものがすぐに見つけられるよう通常のSM店舗同様の売場配置を心がけた。

 FS宮前平駅前店の年商目標は5億4000万円。「販促や商品の陳列の仕方など、顧客の目に留まりやすい工夫をすることで来店のきっかけを多くしたい」と森島悠希店長は語った。