ディスカウントストア? スーパーマーケット? 売場から見えた「ジャパンミート」の独自性

矢野清嗣
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際立つ「ディスカウントストア」のイメージ

 「ジャパンミート」はディスカウントストア(DS)なのか。それとも食品スーパーなのか。売場を見ただけでそれを判断するのは難しい。

 ジャパンミートの基本的な売場スタイルは食品スーパーである。だが、一部の売場ではDS型の販促を展開しており、「食品スーパーとディスカウントのスタイルが混在している」というのが筆者の印象だ。

 このジャパンミートの「DSのイメージ」は、青果と精肉の価格設定が大きく寄与している。調査日は「レタス」「キャベツ」「白菜」といった売れ筋の安さを強くアピールしていた。こうした日替わりの価格訴求がお客に安さを印象づけている。

 精肉卸出身の強みを発揮した、競合店では出せない精肉の安さも、DSとしてのイメージを形成している。加工肉や冷凍肉などのオリジナル商品をジャパンミートの強みだ。この青果と精肉の安さが「ジャパンミートはDS」というイメージをお客に植え付けているというわけだ。

ジャパンミート瑞穂店の外観(メーン入口)

 そのほか、冷凍食品もジャパンミートの独特なイメージづくりに大きく貢献している。前述の通り、NB商品は扱わず、業務用商品、自社オリジナル商品、冷凍肉、冷凍魚で構成する冷凍食品売場は、一般的な食品スーパーとは一線を画したものとなっている。これらの商品を求めて来店するお客も少なくないだろう。

 輸入商品も特徴的で、加工食品売場内の輸入商品コーナーで販売するジャムやオリーブオイル、パスタなどは、ブルガリア・カナダ・トルコ産の商品が目立つが、パッケージや量目は日本仕様となっており、手に取りやすい商品が多い。どの商品もコンセプトが明確であり、値ごろ感もある。こうした輸入商品もジャパンミートの独自性を際立たせている。

首都圏で勢力拡大となるか

 ジャパンミートグループは2020年2月にJMホールディングス(茨城県/境正博社長)を設立、持ち株会社制に移行し、新たなスタートを切っている。JMホールディングスの傘下には、ジャパンミートのほか、都市型ホールセール「肉のハナマサ」や、地域密着型スーパーの「パワーマート」などの運営企業がぶら下がる。

 これにより、ジャパンミートグループはより多様な立地・商圏に出店できる体制が整ったとみていいだろう。20年3月には、「ジャパンミート卸売市場王子店」(東京都北区)を出店するなど、都心部も射程圏内におさめている。

 新体制のジャパンミートは、「ジョイフル本田のジャパンミート」のイメージから脱却しつつある。最近は、ジャパンミートと同じく精肉関連企業をルーツとするロピア(神奈川県/高木勇輔代表)が首都圏で勢力を急拡大している。JMホールディングスは今後どのようなスタイルで都心部に進出していくのか。首都圏の需要争奪戦における隠れた注目株となっている(「ダイヤモンド・チェーンストア」5月1日号では特別企画『知られざる「ジャパンミート」の実力』を掲載します、お楽しみに)。

店舗概要
所在地 東京都西多摩郡瑞穂町700-1
開店年月 2007年1月
売場面積 約600坪(歩測)
営業時間 9:00~20:00
駐車台数 3020台(ジョイフル本田瑞穂店)

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