とんかつ屋にパイ専門店…ミスタードーナツだけじゃない、ダスキンのフード事業レポート

松尾 友幸 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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2030代女性に人気「パイフェイス」

パイ専門店「パイフェイス」
パイ専門店「パイフェイス」

 次に紹介するのは、パイ専門店の「パイフェイス」だ。もともとは03年にオーストラリアのシドニーで発祥したブランドで、15年にダスキンが日本における営業ライセンスを取得。現在は京都府、大阪府、千葉県で3店舗を展開しており、イートインとテイクアウトの両方に対応している。オペレーションは簡素化されており、商品は専用工場から冷凍で配達され、店舗では溶いた卵を塗りオーブンで焼くだけで済むようになっている。

 パイフェイスでは、「りんご」や「ラムレーズンバター」(いずれも280円)などのスイーツパイはもちろんのこと、黒胡椒など数種類の香辛料で味付けしたミンチビーフを詰め込んだ「クラシックミンスビーフ」や、大きめにカットした角切りの牛肉を使った「チャンキーステーキ」(いずれも390円)などのセイボリーパイ(総菜パイ)も多く取り扱っているのが特徴だ。

SNS映えする可愛らしい見た目も人気

 主な客層は2030代の女性で、すべての総菜パイと一部のスイーツパイには表面にそれぞれ異なる可愛らしい顔がデザインされていることから、SNS映えする、手土産にも喜ばれると人気だ。加えて、パイは中身が見えないため、顔で種類を見分けることができるというメリットもある。また、見た目だけではなく中に入っている具材が大きくボリューム感があることも支持を得ているという。

総菜パイの「クラシックミンスビーフ」。パイフェイスの商品の一部にはこのように可愛らしい顔が描かれており、とくに20~30代の女性から人気だ
総菜パイの「クラシックミンスビーフ」。パイフェイスの商品の一部にはこのように可愛らしい顔が描かれており、とくに20~30代の女性から人気だ

 日本ではパイはスイーツとして食されることが大半で、総菜パイの認知度はそれほど高くないというのが現状だ。ダスキンの副社長でフード事業を管掌する宮島賢一氏は「日本で食事系のパイの知名度を高めたい。しばらく出店をしていなかったが、今後は全国の主要都市を中心に店舗数を増やしていきたい」と話している。

 ダスキンのフード事業は長年業績低迷に苦しんでいたが、近年は主力のミスタードーナツを中心に業績が回復傾向にある。ダスキンの中でも、かつアンドかつやパイフェイスのような業態は店舗数が少ないため認知度はあまり高くないかもしれないが、本記事で紹介したように他社と差別化できる独自のメニューを持っている。店舗数を増やし消費者の認知度を高めることができれば、さらなる売上アップも期待できるのではないだろうか。

 

「ダイヤモンド・チェーンストア」2020年3月1日号では、ダスキンフード事業の中核であるミスタードーナツのレポートを掲載する予定です。商品だけではなく、ミスタードーナツの店舗政策・出店政策なども詳細に解説しています。お楽しみに!

記事執筆者

松尾 友幸 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

1992年1月、福岡県久留米市生まれ。翻訳会社勤務を経て、2019年4月、株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。流通・小売の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属。主に食品スーパーや総合スーパー、ディスカウントストアなど食品小売業の記者・編集者として記事の執筆・編集に携わる。趣味は旅行で、コロナ前は国内外問わずさまざまな場所を訪れている。学生時代はイタリア・トリノに約1年間留学していた。最近は体重の増加が気になっているが、運動する気にはなかなかなれない。

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