田川店最速レポート トライアルの最新スマートストアは何がスゴイのか? 年明け「重量センサー付レジカート」登場へ

小野 貴之 (ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長)
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レジカート150台、AIカメラ350台、サイネージ60台を導入!

 最新スマートストアの田川店はどのような店舗なのか。

 2006年開業の店舗を改装してオープンした田川店。福岡県の中央部に位置する田川市内、平成筑豊鉄道伊田線「下伊田」駅から徒歩5分の場所にある“駅チカ”の店舗だが、周辺の環境はロードサイドに近い。商圏とするクルマで20分圏内には約10万人が居住し、シニア層が多いという。

入口すぐには青果売場が広がる。木目調のデザインを新たに採用した

 改装期間は1カ月ほどで、店舗面積は改装前とほぼ同じ約1500坪。食品のほか、ドラッグストア、家電、衣料、住居関連品の売場をワンフロアに備えた、いわゆるスーパーセンター(SuC)業態の店舗だ。

 改装の目玉は、タブレット付きの「レジカート」による「ウォークスルー決済」の導入である。アイランドシティ店、新宮店で採用したセルフレジ機能付きのレジカート150台を配備。2つの専用レーンを設けた。そのほか、お客の動線を認識する「AIカメラ」を店内各所に合計350台、デジタルサイネージを60台、生鮮売場を中心に電子値札約150枚を新たに導入している。

トライアル電子棚札
青果売場を中心に電子棚札約150枚を新たに導入

 改装前は通常レジのみだったという田川店。改装後の決済手段は、レジカートによる決済とセミセルフレジの2パターンとなる。セミセルフレジはお客の反応を見ながらフルセルフレジに切り替えていくという。なお、大野城店で導入したような、スマートフォンアプリによるセルフスキャン決済は採用していない。

スマートストア化で品揃えを最適化!

 スマートストア化にはどのような効果があるのか。同社執行役員福岡秘書室長の矢野博幸氏によれば、レジカート導入店舗では、レジ人員の人時を約20%削減する成果があがっているという。また、タブレットに「おすすめ商品」を表示する機能の効果もあって、レジカート利用者の買い上げ点数はほかのお客と比べて4~5点ほど多いというデータも得られているとのことだ。

ウォークスルー
レジカートによるウォークスルー決済の様子。若い層だけでなく、オープン初日からシニア層もよく利用していた

 さらに販売データとあわせてAIカメラで「お客が商品を手に取ったかどうか」というデータを蓄積することで、品揃えの最適化という点で一定の成果が見られている。実際に田川店では、改装前は約7万5000あったSKU数を改装後は約5万まで絞り込んだ。

 「田川店では、自転車やペットのケージといった売場スペースを取るわりに購買頻度の低いカテゴリーを見直した」(トライアル執行役員本部改革推進室リテールAI推進プロジェクトリーダーの内山智博氏)。品揃えを売れ筋に絞ることで、補充効率が向上し、さらなる省力化・省人化効果も見られているという。

サイネージ
売場の随所でサイネージを配置し、商品紹介の画像・映像を流している

 いわゆる「死に筋商品」をカットする一方で、田川店では浮いたスペースを利用して、総菜売場にあるレンジアップ商品などの「中食」を切り口とした商品や、競合する家電量販店で扱いの弱いスマートフォン関連アクセサリーなどの売場を拡大・強化している。こうした施策によって、田川店では改装前から10億円増となる年商43億円の達成をめざす。

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記事執筆者

小野 貴之 / ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長

静岡県榛原郡吉田町出身。インターネット広告の営業、建設・土木系の業界紙記者などを経て、2016年1月にダイヤモンド・リテイルメディア(旧ダイヤモンド・フリードマン社)入社。「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属し、小売企業全般を取材。とくに興味がある分野は、EC、ネットスーパー、M&A、決算分析、ペイメント、SDGsなど。趣味は飲酒とSF小説、カメラ

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