イオンリテールがシニアシフト2号店をオープン、モノからコトの集大成への転換図る

文:太田さとし
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イオンリテール(千葉県/梅本和典社長)は4月25日、イオンマリンピア店(千葉市)を55歳以上のシニア世代をターゲットにした「G.Gモール」の2号店としてリニューアルオープンした。G.Gモールとしては葛西店についで2店舗目、千葉県内では初の出店。商圏の高齢化に対応するシニアシフトフォーマットとして注目される。

時間消費型を意識

 イオンマリンピア店は1984年、幕張新都心などを含む千葉市海浜地区の埋め立てによって誕生した造成地として開発が進んでいたJR京葉線稲毛海岸駅前に開店し、今年で30周年を迎える。周辺は海浜ニュータウンや稲毛団地などの大型集合住宅に囲まれ、かつてはファミリー層でにぎわったが、開発から半世紀近くがたって高齢化が進み、商圏人口の50%以上が55歳以上で占められるようになったことから、シニア対応の次世代フォーマットとして開発を進めるG.Gモールへの転換を図った。

 とくに大きく変わったのは最上階の4階フロア。オープン時はスケートリンクとして営業していたが、その後数度の改装を経てテナントが入居していたスペースを全面改装。カフェを中心に書店、CDショップ、イベントスペースなどを展開し、時間消費型の売場を意識した構成に切り替えた。

 核となる売場はカフェ・ド・ペラゴロ。注文を受けてから一杯ずつサイフォンで入れるコーヒーが売りで、価格は380円。来客向けにタブレット端末を無料で貸し出しており、電子書籍が閲覧できるほか、店内のイベントや買い物情報などを配信する。

 カフェに隣接する大型書店「未来屋書店」はソファスペースに向かって開放され、万引き防止用の赤外線センサーをあえて設置していない。手に取った雑誌や本をソファやカフェスペースに持ち込み、イスに座ってゆっくり吟味できる趣向だ。

 フロアのアクセントとなるイベントスペースは、最大80席。著名人を呼んだイベントや各種のセミナーなどを毎週開催する。隣接するCDショップ「新星堂」が主催するミニコンサートなどの音楽イベントも行う予定だ。

コンシェルジュサービス導入

 「まだまだ完成形ではないが葛西店で取り組んだコトの集大成をさらに深化させた」(シニアシフト推進部長谷島英明氏)。売場のスタイルをモノからコトへ切り替え、来店頻度、滞留時間の向上を図るのが最大の狙い。滞留時間を改装前の平均1時間に対して1・5倍に伸ばし、1時間半を目標としている。

 4階以外では、1階のヘルス&ビューティケア(H&BC)コーナーを大幅に拡充。トイレタリーや介護グッズなどありきたりの商品提案から脱し、漢方相談コーナー、オーガニック化粧品、美容雑貨や健康食品などドラッグストアに対抗する品揃えを追求。H&BCコーナーだけで改装前の売上に対して15%増を見込む。

 この店で2例目となるコンシェルジュ・サービスを導入した。店内のことならどんな要望にも対応する専門相談員で、全7名が3階の暮らしのサポートカウンターを起点に店内を巡回する。

 シニアシフトフォーマットは「まだまだ試行錯誤の段階」(谷島氏)だが、G.Gモール一号店として昨年オープンした葛西店では、改装により売上が8~10%向上している。同店も改装により6%の売上増を見込んでいる。

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