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角上魚類移転オープンで過熱する、流山おおたかの森の「食」需要争奪戦!

「子育てしやすい街」として人気を集め、近年人口が増え続ける千葉県流山市。その中心となっているのが、「流山おおたかの森」エリアだ。同エリアでは近年、豊かなマーケットをねらった小売業が相次いで進出し、競争は激しさを増している。本稿では、22年6月末に出店した「角上魚類」にスポットを当て、出店の影響について考えてみたい。
調査日=8月6、10、24日 ※本文中の価格はすべて本体価格

駅側入口から見た「流山おおたかの森S・C」

流山おおたかの森S・Cに新たな別館が登場

 つくばエクスプレスと東武野田線が交差する「流山おおたかの森駅」。駅東口からすぐに場所にあるのが、食品スーパーや生活雑貨専門店、シネマコンプレックスなどが入る大型複合施設「流山おおたかの森S・C」だ。髙島屋(大阪府)子会社でデベロッパー事業を手がける東神開発(東京都)が開発・運営を担う。

 流山おおたかの森S・Cが開業したのは2007年3月のこと。当初は「イトーヨーカドー」「ユニクロ」「ロフト」「紀伊國屋書店」など約140店の専門店でスタートしたが、2014年に「ノジマ」などが入る「ANNEX(現ANNEX1)」、2021年には「無印良品」などは入る「FLAPS」と、別棟を増築。そして2022年6月30日に新たな別棟「ANNEX2」をオープンしている。

 ANNEX2は地上4階・地下2階建てとなっており、地下は駐車場、地上4階部分がテナント売場となっている。2、3階に「ニトリ」、4階に「セリア」などが入る同施設の核となるのが、1階に入る「角上生鮮市場」だ。

 角上生鮮市場は、角上魚類ホールディングス(新潟県)が運営する鮮魚専門店「角上魚類流山店」(以下、流山店)を核に、精肉専門店の「天池」、青果のほか日配・加工食品・種類を扱う「R-GENKI」を誘致しており、市場のような活気ある売場となっているのが特徴だ。なお、角上魚類ホールディングスでは同店から約4km離れた場所に単独ロードサイド店を運営しており、今回の出店にあたりその店舗を閉店、移転オープンというかたちとなっている

 「流山おおたかの森」駅周辺では、2022年4月に、「流山おおたかの森S・C ANNEX2」から300mも離れていない場所にある商業施設内に「ロピアおおたかの森 コトエ店」がオープンしている。ロピア(神奈川県」といえば、「最も勢いのある食品スーパー企業」として知られる有力チェーン。SC運営を担う東神開発としては、強烈な集客力を誇るロピアの進出に対策を打ちたかったところだろう。そこで白羽の矢が立ったのが「角上魚類」なのだとみられる。

「魚」に特化した圧巻の総菜売場

 新潟県長岡市に1974年開店した鮮魚直販店をルーツとする角上魚類ホールディングスは現在、新潟のほか、東京・千葉・埼玉・神奈川・群馬・長野に合計22店舗を展開する。出店形態は単独でのテナント出店と、今回のような外部の生鮮食品専門店とコラボした「角上生鮮市場」があり、筆者がこれまで同社の店舗を見てきたかぎりでは後者のほうが高い集客力を発揮している印象だ。

 流山店の売場を見ていこう。売場面積は約100坪で、駅側の正面入口から壁づたいに「総菜」「寿司」「刺身」「丸物」を配置している。商品の配置は基本的に固定されているが、売場を常に変化させているため、何度来店してもお客を飽きさせない売場となっている。

 まず見ていきたいのは総菜コーナーだ。全体の中でも総菜は強化部門であると見られ、スペースを割いて売場は正面入口の左サイド、8尺のフード付き什器で天ぷらやフライ、煮付けなど、4尺の棚で焼魚など、6尺の平台で弁当、丼物を販売する。

 フード付き商品は専任スタッフがお客に対応しており、天ぷらでは「えび天ぷら」(1本160円)、「メゴチ天ぷら」(同280円)、「穴子天ぷら」(同420円)、「大粒カキフライ」(1個90円)、「いわしフライ」(100円)など揃える。焼魚では「まぐろかま塩焼」(300円)、「かます塩焼」(400円)、「赤魚塩焼」(480円)、「さば塩焼」(580円)、「銀鮭かま塩焼」(380円)、「鯛塩焼き」(1200円)など約50品目と圧巻のラインナップで商品を展開する。

フライ類も「魚」に特化したラインナップとなっている

 その隣の4尺3段では「焼さばほぐし飯」「帆立めし」(400円)、「あさり飯」(350円)、「いか飯」(380円)などの米飯商品のほか、「蛸マリネ」(350円)、「ひじき煮」(120円)、「さば味噌煮」(380円)、「銀たら煮」(150円)、「鮭南蛮漬け」(350円)、「真あじ南蛮漬け」(350円)なども揃えており、まさに“魚尽くし”となっている。

スタッフによると1番の売れ筋だという「海鮮天丼」(650円)

 弁当も同様に、「かれい明太味噌焼弁当」(700円)、「さば味噌煮弁当」(580円)「あゆ飯」(580円)、「銀鮭塩焼弁当」(680円)、「銀たら西京焼弁当」(750円)、「海鮮天丼」(650円)、「国産うなぎ天ぷら飯」(980円)など「魚」を切り口とした商品が充実する。どの商品も具材となる魚のボリューム感が目を引き、価格以上の価値を感じられた印象だ。

寿司・刺身も充実のラインナップ

 総菜コーナーを超えて店内に歩を進めた先、壁面で展開するのが寿司コーナーだ。
「握り寿司」が24尺、「巻物・お稲荷」が4.5尺で売場を展開。握り寿司では「角上寿司桶(海)40貫」(6000円)、「角上35貫」(5000円)、「浜24貫」(3400円)、「波20貫」(2600円)などの大容量のほか、主力の1200円・1450円の商品を豊富に揃えている。既存店でも人気のコーナーとあってとくに週末は陳列量も多く、迫力のある売場となっていた。

 そのほかにも調査日は「寿司折赤身10貫」(1000円)、「ウニ軍艦4貫」(800円)、「中とろ8貫」(1000円)、「まぐろたたき4貫」(360円)、「きはだ鮪6貫」(680円)、「あなご押寿司4貫」(360円)など、30品目近くをラインナップしていた。

 その隣はまぐろコーナーとなっており、4.5尺のスペースで「まぐろつくし」(1080円)、「本まぐろ中トロスライス」(15枚1500円、10枚1000円、6枚600円)など各種まぐろコーナーを販売。刺身コーナーは27尺で、「いさき刺身」(400円)、「天然ぶり刺身」(380円)、「まぐろたっぷり盛合わせ」(750円)、「季節の旬盛」(780円)、「本まぐろ赤身」(1050円)のほか、「真鯛姿盛り」(2500円、3600円)、「めばる姿盛り」(1050円、1480円)などお造りも扱う。刺身全体では約40品目をラインナップしており、こちらも迫力ある売場となっている。商品が常に補充されており、売場に“穴”も見当たらない。週末のピークタイムは、商品を見るのも難しいほどにお客が殺到している。

 後編では、丸物コーナー、平場の売場を見て行きたい。

(店舗概要)
所在地 千葉県流山市おおたかの森西1-3-1おおたかの森S・C ANNEX2
開店日 2022年6月30日
売場面積 1階全体約300坪、角上魚類売場約100坪(ともに歩測)
営業時間 10:00~20:00
駐車台数  180台(ANNEX2のみ)