その視察、本当に効果的? マーケティングの視点で見る競合調査3つのポイント

島袋 孝一 (株式会社Preferred Networks マーケティング)
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2年ぶりに行動制限のなかったゴールデンウイーク、皆さまどのように過ごされましたでしょうか? 流通業界では、新規出店やリニューアルなどの動きが再び活発化し、その中でコロナ禍を経た”新時代”に対応したニューノーマル型の店舗も続々と開業しています。DCSオンラインの読者の方は、所属する企業や業態、役割・肩書は異なれど「流通のプロ」または「プロをめざしている」方がほとんどだと思います。お客さまの買物体験をより良いものにすべく、日々の業務の中では「競合店舗の調査」も重要な活動になっているでしょう。今回はその競合調査について、マーケティングの視点で考えてみます。

スマホゲームがガムの競合になる理由

 企業のマーケティング活動において、いわば教科書的な分析視点として「3C」という概念があります。3Cとは、

①自社(Company)
②市場・顧客(Customer)
③競合(Competitor)

 の3つに分類されます。

 そのうえで、今回の主題である「競合」対して持つべき視点としては

 ・自社の事業ドメインと競合する事業者とは?
 ・競合の市場シェアはどれくらい?(自社との比較含め)
 ・競合の戦略方針や施策とは?
 ・競合施策の有用性(自社へのインパクトは?)

 などがあり、これを整理・把握することが重要となります。そしてこれらの視点は自身で整理するだけでなく、チームメンバー(上司・部下)とも共通認識として持つこと、さらに「現在」だけでなく、「未来」の時間軸を意識することも重要です。

 加えて、「自社の事業ドメインの直接的な競合」だけを意識するのではなく、「ジョブ理論」的な思考回路を持ち、それをチームで共有することも、現代では欠かせない視点です。

 たとえば、私が2016年まで在籍していたパルコで言うと、ビジネスモデル的な直接競合は「ルミネ」「イオンモール」「ららぽーと」などの商業不動産(ショッピングセンター = デベロッパー)ですが、生活者の行動がインターネット(=スマホ)中心になったことにより、EC(「ZOZO」「メルカリ」など)も競合となりました(最近ではこうしたネット専業が、リアル小売の”協業相手”になることも多々ありますが)。

 さらに生活者視点で見ると、時間と金銭を消費する「買物に出かける」という行動そのものは、同じように時間と金銭を消費(課金)するスマホゲームとも競合すると言えます。

 少し前の話になりますが、2014年に菓子メーカーのロッテが、「スマホのゲームやメールなどに集中する人が増え、電車の中でガムを噛み人が減り、購入量が落ちた」という調査結果を発表していました。私は当時、この記事を読んで衝撃を受けたことを覚えています。「ガム」と「スマホ」が競合関係にある、なんて考えたこともなかったからです。

 また、最近では動画配信サービス「Netflix」が、「競合するのは同業のサービスだけでなく、ユーザーの睡眠時間」という刺激的な見解を示したことも衝撃でした。

日頃の視察はどのようにやっていますか?

 話題を店舗視察に戻します。皆さんは日頃、どのように視察を行っているでしょうか。一口に視察といっても、いろいろなシーン・手法があるかと思います。下記の項目から、ご自分のスタイルを整理してみてください。

・業務時間中に時間をつくって訪問するか/通勤・退勤の途中に足を伸ばして訪問するか
・平日に行くか/休日を利用して訪問するか

・視察に行くのは開業してすぐか/一定期間経ってからか
・どの時間帯に行くか(朝/昼/夜)
・服装(スーツ/カジュアル)
・人数(一人/複数人)
・購買有無(買物はするか/見るだけで退店するか)
・ポイントカードやハウスカード(クレジットカード)はつくるか
・専用アプリのダウンロード/SNSのフォローはするか
・事前の情報収集はどの程度するか
・後日、会社(チーム)に報告するためのテンプレート資料があるか

あるいは、自らの足で赴くのではなく、

・流通専門メディアや経済誌の記事からインプットする
・調査会社や代理店に委託
・SNS上の口コミやレビューを参照する(これは前回のテーマにも通じますね)

といったやり方をされている方もいらっしゃるかもしれません。

 後者の手法を全否定するわけではありませんが、私は直接自身の五感を研ぎ澄ましながら視察することをおすすめしますし、おそらく多くの方はそうしているかと思います。入社して間もない若手の方だと、まだ自分の業務時間や配分が自由にならない場合もあるかもしれませんが、自ら上司やリーダーに「視察に行きたい」という思いを伝えるだけでも、一皮剥けるきっかけになるかと思います。視察した後には、定型的な報告だけでなく、自らの視点を織り交ぜてレポートすることで、より自らの存在価値が示せるかもしれません。

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