「メタ」(超越)と「ユニバース」(宇宙空間)を組み合わせた造語「メタバース(仮想空間)」が、今後、急拡大する有望技術として“バズワード”と言われるほど注目を集めている。そんななか2021年12月、凸版印刷(東京都/麿秀晴社長)は、メタバースを活用したショッピングモールアプリ「メタパ™(Metapa)」の運営を開始し、新しい買物体験の提供に挑戦している。
店舗とECのギャップを埋める
凸版印刷が運営する「メタパ」は、仮想空間上に構築された複数店舗で買物が楽しめるアプリだ。仮想現実(VR)や拡張現実(AR)、動画などのデジタル技術を組み合わせた3次元のバーチャル空間「メタバース」と、仲間や集まりを意味する「パーティ」から名付けられているとおり、バーチャル空間で人々が集まり、一緒に楽しめる新しい買物体験を提供している。
コロナ禍では、移動や対面コミュニケーションが制限され、店舗で実際の商品を試したり、店員と気軽に会話したり、またまったく知らなかった新しい商品との出合いなど、リアル店舗ならではの買物体験が損なわれた。ECは場所や時間の制約を受けずにいつでも買物できる点で利便性の高い購買チャネルであるものの、サービスの進化はUX(ユーザー体験)やUI(ユーザーインターフェイス)の向上にとどまっている。
凸版印刷情報コミュニケーション事業本部事業創発本部の名塚一郎部長は「店舗とECとのギャップを埋める新しい買物体験をメタバースで実現できないかと考えた」とメタパ開発の背景を説明する。
そこでまず凸版印刷は21年3月、バーチャルとリアルを融合した新たな買物体験を実現するサービス「IoA Shopping™(IoAショッピング)」を開発。Retail as aService(サービスとしての小売)のパイオニアとして知られるベータ・ジャパン(b8taJapan:東京都/北川卓司カントリーマネージャー)との提携により、同社の「有楽町店」(東京都千代田区)をバーチャル空間に構築し「Virtual b8ta(バーチャルベータ)」として営業する実証実験を行った。その結果、8割のユーザーで有用性が認められた。
この成果をもとに21年12月、スマホアプリをベースに複数店舗がバーチャル空間に出店できるメタバースショッピングモール「メタパ」をリリースし、バーチャル店舗の第1号店として「Virtual b8ta」を正式にオープンした。
ゴーグルは必要なし!友人と一緒に入店可能
メタパは、時間や空間の制約を受けない買物体験を提供できる点が特徴だ。利用者はスマホアプリを介していつでもどこからでもバーチャル空間にアクセスできる。
一連の買物の流れは次のとおりだ。
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