イオン・ハピコムグループ ドラッグ戦略

2012/01/19 18:44

イオン株式会社 ドラッグ事業最高経営責任者 佐藤京子

新業態「ドラッグコンビニ」の展開でグループシナジーを生かす

 

 医薬品販売に関るイオンとメンバー各社からなるハピコムグループは6月1日付でそれまでのイオン・ウエルシア・ストアーズから名称を変更した。このネーミングは地域のヘルスケアステーションをめざし、地域のお客様の健康づくりに貢献していくという思いからできた造語だ。現在の事業環境を取り巻く状況は、ドラッグストアの市場規模が約4兆円で、その内訳は調剤と医薬で30-40%、化粧品が20-30%、雑貨20-30%、食品が10-20%となっている。市場規模は右肩上がりの成長を続けており、業種や業態を超えたグループ化が進んでいる。医薬品そのものの市場は約8兆円と言われており、病院や開業医での院内および専門薬局による調剤が多い。


 ドラッグストアを取り巻く環境で影響が大きいのは高齢化の進展と医療費の増大である。行政から見れば医療費や介護費用の抑制という動きが必然的に出てくる。一方で少子化で若年層が減ることで保険料収入は増えない。こうした状況を受けて6月の薬事法改正により薬剤師のほかにOTC第2、3類の医薬品販売が可能な登録販売者という資格を設けて安全性を担保しながら病院に通うのではなく店頭で医薬品を購入して病気を治す機会を増やす取り組みが始まった。調剤やOTC第1類の販売は薬剤師のみが行うことになった。もうひとつは日本ではシェアの低いジェネリック薬品の普及を促進することが重要とされている。安価なジェネリック薬品を使うことで薬価を抑制し医療費を圧縮することができる。


 こうした環境変化の中でハピコムが取る戦略は、(1)専門性の探求、(2)地域に密着した事業展開、(3)優位性のある商品開発、(4)グループシナジーの活用―の4つになる。専門性の探求という点では2つの柱があり、ひとつはハピコムグループの調剤薬局併設率が36%と業界標準の2倍と高いこと。もうひとつは専門人財の育成を進めていることだ。地域のヘルスケアステーションとして機能するために、専門家を育成することを重視している。イオン・ハピコムグループは2005年に「イオン・ハピコム(当時ウエルシア・ストアーズ)人材総合研修機構」を設立し、認定薬剤師の資格を発行するプロバイダーとなった。こうした団体は全国に12あり、民間企業が運営するのは我々が唯一の存在となっている。カリキュラムは新卒の薬剤師を3年かけてドラッグストアで働くのにふさわしいコミュニケーション力をもった人財に育成することと、修了者に対して新しい知識をフォローアップすることである。さらに6月の薬事法改正を受けて機構とは別に登録販売者の育成事業にも着手した。いづれもお客様が安心して商品選びをすることをサポートできる能力の獲得を目指している。知識はテキストやe-ラーニングで習得できるがコミュニケーション力は実地で研修しなければならない。その点で我々の研修事業は派遣企業、受講者其々からの評価が高くなっている。


 PBの開発ではPBといえどもNBと同様の品質の高さで安心を訴求してきた。今ではさらにNBの上をいく機能を提供することでお客様の利便性を向上させることを推進している。商品開発会議を毎月開催し、その下にワーキンググループを設けてPBの方向性を議論し商品開発につなげている。計画では2012年に現在190億円の医薬品PB販売を300億円に高めていく。医薬品のブランドはハピコムだが、それ以外の商品ではマックスバリュブランドの商品がありドラッグストアでは両方のカテゴリで販売しており、それらをミックスしながら調達する商品群を検討している。


 グループシナジーの活用では、イオンのコンビニ業態であるミニストップとハピコムグループのドラッグストアの協働によるドラッグコンビニの取り組みも進めている。大きなミッションが地域のヘルスケアステーションであり、専門性と利便性を同時に提供しようという試みになる。今は既存店を使った実験段階だが、基本的にはこのコンセプトに沿って新業態を開発し拡大していくことがゴールになる。当初、ATMの利用件数やお弁当の販売数などがどうなるのか、という興味があったが、実は一番変化があったのは客層だった。コンビニの主な客層であった男性客が増え、ドラッグストアは昼間は主婦層のお客様が多いがちょっとお昼を買うにもコンビニが併設されていて便利という結果も出ている。客単価は2-3%落ちたが、店舗で見れば10-20%の売上拡大になっている。今後、新業態の開発に継続してCRM戦略や必要な経営幹部の育成、そして社会貢献活動と事業内容を詰めて展開を拡大していきたいと考えている。

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