データの分析・活用の促進を

2012/01/19 18:29

SAPジャパン株式会社バイスプレジデント インダストリー/ソリューション戦略本部 本部長 脇阪 順雄

商品情報サイクルを支えるためのシステム基盤

 

 SAPは製造業向けのシステムでせいぜい本部系の人事・会計システムがあるというイメージが日本の流通業界では強い。今、市場では例えばユニクロのファーストリテイリングのようなSPAの業態が注目されるとともに国内の流通企業ではPB商品のウェートを高めている。海外でもナイキのように消費財メーカーが直営店を運営するケースが増えてきた。そうなると製造系のシステムも必要になり、全体では各種のシステム連携は避けては通れないだろう。こうしたIT活用ができなければ海外の流通企業との激しい競争の中では生き残れない。日本の人口は1億2000万人で世界では60億人。これまでは1億2000万人の市場を対象にすれば良かったが、それでは人口減少の局面では成長戦略が描けない。


 コンプライアンスの問題や世界標準の会計手法への柔軟な対応といった本部系システムではSAPというのは理解できても流通の現場のシステムはどうなのか?とよく聞かれる。SAPは流通業界にも一貫したソリューションを提供できるが、日本ではPOSシステムを売り込もうとは考えていない。すでにPOSシステムとカードソリューションのようなCRMシステムを連携活用してシステムを構築している企業は多く、そこに割って入れるとは思っていない。MDや在庫管理システム、サプライチェーンなども同様かもしれない。しかしRFIDの導入など新しい分野では、SAPはすでに実験店舗での実証も行っておりそのノウハウを活用するという分野はあるだろう。しかし今言いたいのは、流通企業がこれまで長年かかって各種のシステム化を果たしてきた結果として導入コストや運用コストは高くはないのか、また各システムのデータ連携は人手を介さずにできているのか、ということである。


 競争を優位に進めるために調達先を拡大したり、ウェブなど新たな販売チャネルを開拓したり、先ほども言ったPBの拡充も必要かもしれない。商品を調達してプロモーションして売るという一連の商品ライフサイクルで商品を売り切るまで商品情報の管理は重要な業務になる。そうした商品ライフサイクルの管理と業務の拡大に対してシステムのデータ連携は十分に行えているのか。もちろんそれを完璧に達成している企業も中にはあるだろう。しかし、多くの企業が、既存や新規を含めて各種の業務に対して個別最適化されたシステムを構築してきて全体最適化が図れていないのが実情だろう。


 例えば商品マスタ登録など一連の流通の業務フローを単純に考えてみると、まず商品の売り込みがあって検討して、商談があり仮承認し商品マスタや調達先のマスタを登録して調達してPOSにデータを送り、広告やPOPも作成して実際に商品が店舗に並ぶという流れが考えられる。その中でメールやFAX、電話でのやりとりが何回もあって商談記録も紙で出力して、マスタ登録もその場その場で人手により入力している、というのが普通だ。しかし人手を介することはミスが発生する要因になる。そのプロセスが多ければミスが起きる頻度は多くなると言うことだ。商品マスタの精度向上や商品ライフサイクルをなるべく短くする工夫が必要になっている。


 SAPはこの一連のプロセスを統合してデータ管理ができるソリューションを持っている。ビジネスプロセスをツールにより統合していくことでライフサイクルの短縮化を図り、ミスの発生しないデータ連携の環境を作り出すことができる。それも各システムは既存のシステムを活用したままで、データ連携を図っていくという方法だ。SAPはこれまでパッケージベンダーとして成長してきたが、ここにきてパッケージベンダーであることを捨てた。情報システム上のデータ連携を可能にする部品とツールも提供できるビジネスプラットフォームベンダーに変わったということを強くアピールしておきたい。

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