新たな潮流に立ち向かうコンビニエンスストアとFCビジネスのポテンシャル

2012/01/19 18:28

社団法人日本フランチャイズチェーン協会会長 株式会社サークルKサンクス取締役会長 ひじ(土に点)方 清

潮目の変化を読み取り新たな成長戦略を

 

 2008年秋のリーマンショックに端を発して世界同時不況の局面に陥り景気低迷が続いている。それとともに国内要因として少子高齢化や消費者嗜好の多様化への対応という課題が浮上してきた。コンビニ業界を例にとれば2000年以降、2007年まで業界全体の売上は一貫して右肩上がりの成長を続けてきた。しかしこの間、2000年以降はコンビニ各社のし烈な出店競争や異業種との競争が激しくなったことで既存店の売上は前年割れが続いている。昨年、コンビニ業界が百貨店業界の売上を上回ったがタスポ効果が終わった今、既存店には厳しい状況が続いている。こうした状況から、私個人としては2000年に実は大きな消費構造における地殻変動が始まっていたのではないかと考えている。


 その要因を「経済的要因」と「社会的要因の2つに分けて考えてみたい。経済的要因としては出店競争の激化や異業種、例えばドラッグストアとの競争の拡大やSMの長時間営業などが挙げられる。また社会的要因としては消費構造の変化や就業構造が多彩となり結果的に低所得者層が拡大したこと。これにより消費動向が圧倒的に低価格重視の傾向へと変化した。実はこうした変化で潮流が変わる、つまり潮目の変化が起きているのではないかと考えざるを得ない。


 特にこの10年間にコンビニ業界は市場の変化に対応するためにこれからあげる3つの変革を進めてきた。第1にインターネット社会に合わせた新しい利便性の提供である。店頭マルチメディア端末を店内に設置しインターネットで予約したチケットの発券を行ったりインターネット通販で注文した商品をコンビニで受け取ったりするサービスだ。第2に金融サービス取り扱いによる利便性の提供である。2009年3月末のコンビニATMの設置台数は3万2737台。コンビニ全体で4万2000店以上あるので約80%の店舗にATMが設置されている。さらに公共料金などの収納代行や電子マネーでの支払いといった利便性を提供している。3番目にその他の利便性提供としてはマルチコピー機の設置や商品の宅配サービスなどもあげられる。


 潮目の変化を読み、それに対応することで日本のコンビニ業態は世界に誇れるビジネスモデルに成長した。逆にコンビニ発祥国である米国には伝統的なスタイルのコンビニはほとんど姿を消しつつある。その理由はGMSやディスカウントショップの安売り競争に引き込まれたからである。「安く売る」以外に武器を持っていなかったわけだ。それに対してコンビニが日本で成功した要因を一言で言えば「コンビニが小売業を科学した」ということ。イノベーションを進める過程で高度な情報システムが構築され、川上に位置するメーカーから川下まで必要な情報マネジメントによるサプライチェーンの高度化も実現した。また、FC展開で重要な会計や教育、物流といったシステム改 革を常にブラッシュアップしてきた。


 2009年5月28日。日本フランチャイズチェーン協会(JFA)は「社会インフラとしてのコンビニエンスストア宣言」をまとめた。コンビニ業界の売上高は7兆9000億円、店舗数4万2000店以上で130万人の雇用を創出している重要なセクターとなっている。そのコンビニ業界の責任として1 環境、2 安全・安心、3地域経済活性化、4消費者の利便性向上の4つの分野の課題を掲げた。今話題の環境については店舗ごとのエネルギー消費原単位を2008-2012年度までの5年間の平均で90年度比23%削減の目標を設定し、さらに食品リサイクルの積極的な推進。安全・安心ではまちのセーフティーステーション活動、地震などの災害発生時の生活ライフライン機能の提供の推進。地域経済活性化では自治体との包括協定締結による地域連携の強化、地域イベントなどへの積極的な関与。消費者の利便性向上ではこれまでの取り組みとともに医薬品販売への参入などもコンビニの利便性として注目されるだろう。


 こうした取り組みを踏まえて、コンビニ業界は新たな潮流に立ち向かわなければならない。そのひとつが消費者指向の変化を読み取った新たな業態の開発。お客様の低価格志向は大きな潮流として今後も拡大していくだろう。それをベースとしたうえでひとつはハイブリッド型コンビニ。すでに着手しているチェーンもあるがコンビニとドラッグ、コンビニの中に外食チェーンなどの形態も考えられる。二つ目は生鮮コンビニ、サークルKサンクスでも着手したばかりだが生鮮三品や惣菜など高齢者を対象にした利便性の提供で差別化を図る。そして新しいカテゴリの導入。例えば医薬品の取り扱いやレンタルなどがこれにあたる。最後は地域にあった商品構成を持つ地域対応型の店舗などが考えられる。


 時代に対応し潮目を読むことでコンビニだけでなくFC事業はこれからも成長のポテンシャルを持った業界だと言える。そしてさらに成長を確実にしていくために、中国、東南アジアをはじめ欧米や南米も含めた海外展開も重要になる。日本で成功している業態は、海外市場からも歓迎されている。少子高齢化、消費者嗜好の多様化など変化は常に起きており競争は激しくなる一方である。環境問題への対応、安全・安心の提供、機能性など新たなニーズに本部と加盟店が一丸となって対応していくことで成長の余地は広いと思う。

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