独自のアイディアで市場優位を獲得する
成功する“あの小売”のデータ活用術
デジタルデータの可能性を拡げる、新たな価値の創出へ

2017/08/03 17:38
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7500万台の携帯運用ビッグデータを活用し
効率的な店舗運営・開発を!

注目されている第三者データ活用の新しいカタチ


ウイングアーク1st株式会社 データプラットフォーム事業開発部
馬木 教好 氏

 

ウイングアーク1stは、情報システムの構築や活用のためのプラットフォームを提供し、クラウドを軸としたソリューションサービスビジネスを行っている。そのなかで、今注目を集めている第三者データを活用したサービスの提案と提供を推進している。各企業の持っている自社データだけでは、精度の高い分析や戦略立案にも限界がある。高度なニーズにも応えられることから、小売業界での導入がはじまっている第三者データとは何か? 同社の提供サービスである「3rd Party Data Gallery」を通して、効果的な利活用を紹介する。

 

第三者データ活用の新たなトレンドとは

ウイングアーク1st株式会社 データプラットフォーム事業開発部 馬木 教好 氏

 企業を取り巻く環境の変化をとらえられなければ、ビジネスの成功にはつながらない。人口動態の変化や消費トレンドの変化、販売チャネルの多様化、訪日外国人の増加、気候変動など、これらについて、すべて自社で調査し、データ化をするとなると膨大な経費や労力、時間が必要となる。さらに、時代の変化も加速していることから、短期間での時系列の調査も不可欠となっている。また、自社保有のデータだけでは、客観的な判断にも限界が生じることから、信頼性の高いデータとなる確率は低くなっている。

 

 そこで、注目が集まっているのが第三者データである。小売業に欠かせない要素は「消費者=人」である。平成27年度の国勢調査によると、1920年の調査開始以来、初めて人口がマイナスに転じた。前回調査より約96万人減となっている。しかし、世帯数を見ると約150万世帯の増加となっている。人口や世帯数を都道府県別に見てみると、状況は変わってくる。リアルな店舗運営の場合は、地域特性を知ることが重要であり、変化の事実を把握できなければ、出店計画も、販売戦略も効果的なものにすることはできない。商圏や市場の外部環境分析に採用されているのが、第三者データである。

 

地域特性を反映したデータ活用のカギとは

 より確かな企業戦略の策定には、内部環境分析と外部環境分析が必要である。内部環境分析は、顧客情報やPOSデータ、商品情報、Web・顧客の声など、自社データでの社内分析が可能である。この分析で「何が、どんな人に」が把握できる。外部環境分析は市場分析である。出店やプロモーション施策実施予定のエリアの世帯数・人口やライフスタイル、店舗・施設数などは第三者データを利用して情報を得る。この分析が「ターゲットはどこに?」である。

 

 内部環境と外部環境の総合分析で、客観的な根拠に基づく意思決定を行うことができる。「何が、どんな人に」というターゲットがわかっても、そのターゲットがどこにいるかわからない状況では、何もしていないことと同じになってしまう。

 

 「どんな人が住んでいるのか?」「集まりやすい場所はどこか?」「どんな人が集まっているのか?」を把握するには、目的にあった第三者データ活用が効果的である。会員カードやID-POSデータを利用することも考えられるが、目的にフィットしたデータとしては、サンプルが少ない場合もあり、信憑性や網羅性・継続性に課題があることが多いと考えられる。

 

図1●店舗・施設周辺の空間人口把握における課題

 

携帯7500万台の運用データを基にした行動データを活用

 店舗や商業施設、レジャー施設など「消費者」を集客する必要がある場合に知りたい情報は、「どの時期に・どこから・どんな人が・どれぐらい」訪れているのかということである。その把握には、NTTドコモが運用している携帯ネットワークから反映されたデータ「モバイル空間統計」の利用が最適である。国内約7500万台の携帯の運用データから、施設周辺や調査エリアの人の動きを把握できる情報サービスとして利用価値が高い。

 

※ 法人名義の契約データ等を除去して推計

 

 ウイングアーク1stでは、目的や用途によって選べる2つのサービスを用意している。エントリープランでは、全国エリアにおける空間人口分布を俯瞰し、どこにターゲット層が多く分布しているのかを確認でき、詳細に調査するべきエリアの絞り込みができる。エリア内のA店周辺、B店周辺、C店周辺それぞれに、高齢者が多い、若年世代が多い、サラリーマン世代が多いなど特徴分析や昼間人口と夜間人口の比較、世代別の人口分布などを分析でき、自社のターゲット層の多いエリアを重ね、出店計画候補地をピックアップすることもできる。アドバンスプランでは、エントリープランより、さらに詳細な分析を可能とする捕捉が行われている。

 

 第三者データと携帯ネットワークによる行動データを連携することで、ポテンシャルのあるエリアを選定することなどが可能となっている。

 

図2●目的や用途によって選べる2つのサービスプラン

 

第三者データを加工処理することで利便性を向上

 第三者データは、各団体や企業が独自の処理を行っているため、統一感がなく、バラバラのデータとなっている。統合して活用することは難しい状況である。そこで、すぐにデータを活用できるように、データ処理、フォーマット化、使いやすいダッシュボードとテンプレートがセットされていることがポイントとなる。

 

 ウイングアーク1stでは、利用用途に応じて選べる3つのデータ提供スタイルを用意している。「ファイル型データ提供サービス」、テンプレートを利用して、簡単に活用したい場合は「クラウド型データ提供サービス」、とりあえずデータを見てみたいという場合は「データコンテンツ閲覧サービス」のクラウド型である。

 

 誰でも簡単に最新の状態のデータを使いたい期間だけ利用できるため、ビジネスチャンスや展開を支援するデータの新しい世界が広がっている。より多くのデータ、詳細なデータ、最新のデータを組み合わせて、自社に最適なデータ分析、検証をすることが、ターゲットである消費者と出会える近道となる。データは持つことではなく、使いこなすことが本来の目的である。

 

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