産地や生産者が明確な原料を使用した商品や簡便性とおいしさを両立した商品など、卸各社では付加価値の高いオリジナル商品の開発に注力する動きが広がっている。今秋も各社から新商品が相次いで発売されており、その一部を紹介する。
安全・安心ニーズに対応国産原料を使用した新商品
安全・安心志向の高まりを背景に、国産原料を選ぶ消費者が増加していることから、国産素材を使用した付加価値商品が注目を集めている。国分グループ本社は、国産素材を煮出しただしの旨味を生麺とともに味わう「クリエイト だし麺」シリーズを展開。この秋は〈三重県産真鯛だし つけ麺塩〉と〈島根県宍道湖産しじみだし 醤油らーめん〉を新たにラインアップした。透き通ってあっさりとしたスープが特長で、“淡麗系ラーメン”として支持を獲得している。また、だしとスパイスの掛け合わせを楽しむ「tabeteだしとスパイスのトリコ」を発売。濃厚なだしの旨味と、芳醇なスパイスの香りが特長の本格スパイスカレーで、新しい切り口の商品として注目されている。
三井物産流通グループは、日本の各地域に根付くおいしいものを全国に広めるオリジナルブランド「にっぽん元気マーケット」から、瀬戸内海産海苔と枕崎産かつお節を使用した「瀬戸内海産やみつきのり かつお節」を展開。海苔とかつお節の旨味の相乗効果で、おにぎりやうどんのトッピングとして最適な商品となっている。この秋は、フルーティーで芳醇なアロマ、シルクのような舌触りはそのままに、缶内二次発酵によるフレッシュな口あたりが楽しめる「シメイ レッド缶」を発売した。
一方、伊藤忠食品は、旬の果物を急速凍結し、鮮度と風味を閉じ込めた「凍眠フルーツ」シリーズから「沖縄県産 アップルマンゴー カット」と「沖縄県産 パイナップル ゴールドバレル カット」を新たに追加。両商品とも完熟状態で食べやすくカットしたうえで凍眠凍結しており、凍ったままでもまろやかな甘さを楽しめるほか、半解凍ではシャリっとした食感が味わえる。品揃え拡充により、国産果実の新たな価値提案を進める。
健康・簡便の切り口で需要を掘り起こし
健康志向の高まりを背景に「健康」を切り口にした商品も堅調に推移している。三菱食品は、糖質制限を行う層に向け「からだシフト」ブランドから冷凍ラーメン2品を発売。博多は「一風堂」、札幌は「吉山商店」の監修を受けた糖質オフ冷凍ラーメンで、両商品ともに小麦粉に国産小麦を使用した歯ごたえのある麺を採用。一部原材料を糖質オフ仕様に置き換えることで、一般的な中華麺に比べて30％オフを実現した。糖質制限を理由にラーメンを控えている人や、罪悪感を抱えつつ食べてしまう人に向け、糖質オフを感じさせない満足感を提供する。
日本アクセスは、オリジナルブランド「Delcy」からシリーズ累計55万食を突破した「チン！する温野菜」シリーズの第3弾「チン！するお芋の温野菜」を秋冬限定で新発売。かぼちゃ、じゃがいも、さつまいも、ブロッコリー、いんげんの5種の野菜をバランスよくミックスした温野菜セットで、芋が中心のため満足感が得られ、夕食の一品やメーン料理の付け合わせとしても活用できる。忙しい日常のなかでも手軽に野菜を摂りたいというニーズに対応し、健康志向層への訴求を強化する。
