イズミが自社PB「ゆめイチ」をリリース ”最後発”ならではの深謀とは

植芝 千景 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

イズミ(広島県)は9月11日、プライベートブランド(PB)「ゆめイチ」の販売を開始した。低価格から高付加価値型まで3つのブランドを揃え、まずは50アイテムを投入。新PBを展開することで食品スーパー事業の競争力を高めたい考えだ。大手やリージョナルをはじめ多くの小売企業が自社PBの展開を広げてきたなか、イズミは自らを「最後発」と位置づけ、プレスリリースでも「最後発のPBだから、最高のPBを目指します。」と高らかに宣言している。戦略の全容とは――。

「ゆめイチ」は価格帯別に「プライス」「レギュラー」「プレミアム」の3つのブランドで構成する。
「ゆめイチ」は価格帯別に「プライス」「レギュラー」「プレミアム」の3つのブランドで構成する。

「松竹梅」3つの価格帯で展開へ

 イズミは9月11日、新PB「ゆめイチ」の販売を開始した。「イチバンも。イチオシも。」をコンセプトとして掲げ、社員が誇れる「地域イチバン」の商品を育成し、最終的に「お客さまにとってのイチオシ」となることをめざす。

 これまでイズミは、セブン&アイ・ホールディングス(東京都)のPB「セブンプレミアム」、日本流通産業(大阪府)のPB「くらしモア」といった他社PBを導入し、一定の支持を集めてきた。今回の取り組みによって、イズミは自社主導の商品開発体制を本格的に始動させる。

 「ゆめイチ」は価格帯別に「プライス」「レギュラー」「プレミアム」の3つのブランドで構成する。初期投入する商品は「プライス」48品目と「レギュラー」2品目を合わせた計50アイテム。インフレ下で消費者の価格感度が高まるなか、まずは低価格帯の「プライス」を中心に展開するかたちだ。

 「プライス」のコンセプトは「毎日にうれしいお求めやすさ」だ。粗利率を抑え、ナショナルブランド(NB)よりも安く提供する。おいしさ、見た目、使いやすさにもこだわった。

 たとえば「ミックスベジタブル」(220g198円:以下税別)は、人気のNB商品よりも安価に設定し、なおかつ彩りがよくなるようコーンを増量している。イズミの山西大輔副社長は「単なるNBの廉価版ではなく、『プライスだから』手に取ってもらえる商品をめざした」と説明する。

「ミックスベジタブル」(220g198円:以下税別)は、人気のNB商品よりも安価に設定し、なおかつ彩りがよくなるようコーンを増量している。
「ミックスベジタブル」(220g198円)は、人気のNB商品よりも安価に設定し、なおかつ彩りがよくなるようコーンを増量している。

 中価格帯の「レギュラー」は、内容量や味わいなどの商品特性に工夫を凝らし、差別化を図る。まずは「純粋はちみつ」(500g498円、1㎏858円)と「味付けメンマ」(70g128円)の2品目を販売し、秋以降順次拡大していく。今後発売予定の高付加価値型ライン「プレミアム」は、味、産地、製法、安全性のすべてにおいて既存PBやNBの“一段上”をめざす。

 「ゆめイチ」はイズミグループ傘下の食品スーパー全260店(イズミ101店、ゆめマート熊本93店、ゆめマート北九州30店、ユアーズ26店、デイリーマート6店、サンライフ4店)で販売する。

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記事執筆者

植芝 千景 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

同志社大学大学院文学研究科(国文学専攻)修士課程修了後、関西のグルメ雑誌編集部を経て、ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。関西小売市場やDX領域を中心に取材・執筆を担当している。現在は大阪府在住。

まとまった休日には舞台・映画鑑賞を楽しむほか、那智勝浦へ弾丸旅行に出かけることも。世界各国の家庭料理を再現するのも趣味のひとつだが、料理に入れたスパイスで歯が欠けたので今は控えめに取り組んでいる。

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