買い上げ点数増!?セブン&アイの新PB「セブン・ザ・プライス」の戦略と効果とは

取材・文:松尾 友幸 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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セブン&アイ・ホールディングス(東京都/井阪隆一社長:以下、セブン&アイ)は2022年9月、価格訴求型プライベートブランド(PB)「セブン・ザ・プライス」を発表した。これはもともとイトーヨーカ堂(同/山本哲也社長)で取り扱っていた「ザ・プライス」をグループPBとして昇華したものだ。本稿では、同PBの戦略を解説する。

買い上げ点数アップや客層拡大を図る

 「セブン・ザ・プライス」の前身であるイトーヨーカ堂のPB「ザ・プライス」が発売開始されたのは21年7月のこと。構造改革中のイトーヨーカ堂が「お客さまからどう見られているか」を調査したところ、挙がった課題が価格訴求力だった。セブン&アイセブンプレミアム開発戦略部シニアオフィサーの福田健二氏は、「『いいものはあるけど高い』というイメージを持たれており、お客さまはお買い得感を求めていることがわかった」と話す。単品で安い商品はあるものの、全体的な価格訴求ができていなかったとのことだ。

「セブン・ザ・プライス」の売場
「セブン・ザ・プライス」のパッケージの色は赤・白・黒の3色に絞り込んでいる
セブン&アイ・ホールディングス セブンプレミアム開発戦略部シニアオフィサー 福田健二氏
セブン&アイ・ホールディングス セブンプレミアム開発戦略部シニアオフィサー 福田健二氏

 以前からセブン&アイグループのPBには、「セブンプレミアム」のほか、より高質な「セブンプレミアムゴールド」があるが、これらPBとナショナルブランド(NB)だけでは「松竹梅の“梅”が欠けていた」(福田氏)という。そこであらためて上質な価格訴求型のPBを開発し、ブランドの認知度を高めることで「お求めやすい価格」をアピールしていく戦略を打ち出した。

 「ザ・プライス」では、加工食品や日配品を中心に、フライパンやスリッパなどの住居関連品も含め、データ分析に基づいて買い上げ頻度が高い商品や価格によって売上が左右されやすい素材系のカテゴリーを中心に開発。店舗での全体の買い上げ点数やバスケット単価の向上をめざしながら、客層として取り込めていなかった30~40代のファミリー層の支持を獲得することを目標とした。

累計売上は39億円を突破

 発売後、イトーヨーカ堂での「ザ・プライス」の売上は好調に推移した。データ分析を行うと、「ザ・プライス」購入者と未購入者を比較した際に、購入者のほうが買い上げ点数は2割、バスケット単価は

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取材・文

松尾 友幸 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

1992年1月、福岡県久留米市生まれ。翻訳会社勤務を経て、2019年4月、株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。流通・小売の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属。主に食品スーパーや総合スーパー、ディスカウントストアなど食品小売業の記者・編集者として記事の執筆・編集に携わる。趣味は旅行で、コロナ前は国内外問わずさまざまな場所を訪れている。学生時代はイタリア・トリノに約1年間留学していた。最近は体重の増加が気になっているが、運動する気にはなかなかなれない。

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