「POPに向いたオススメのペンはありますか」とご質問をいただくことがあります。個人的には、皆さんが普段使っている書き慣れたペンがよいと思いますが、今回は参考までに実際に使用しているペンを紹介します。
「フェルトペン」は素材で使い分けるべし!
ペンには、サインペンやマジックペンなどでおなじみの「フェルトペン」、ペン先にローラーボールが付いている「ボールペン」、最近ではさまざまな色が販売されている「筆ペン」、筆圧に左右されない「万年筆」や「つけペン」、そしてカフェなどで人気の「チョーク」など、たくさんの種類があります。
その中で、実際に筆者がPOP制作時にメーンで使用している「フェルトペン」「筆ペン」「チョーク」について、それぞれ特徴や使い方を交えて紹介していきます。参考にしていただけると嬉しいです。
ただし、紹介するペンの特徴などはあくまで個人の感想です。詳しくは各商品ホームページをご確認ください。
まず見ていきたいのがフェルトペンです。フェルトペンの代表であるサインペンやマジックペンは、書く素材によって使い分けるのがよいでしょう。
たとえば、吸水性のある上質紙やダンボールなどの素材であれば、水性インクの「プロッキー」(三菱鉛筆)や「ポスカ」(三菱鉛筆)を使います。ツルツルした耐水紙やガラスなど、水分を弾く素材であれば、不透明インクの「ポスカ」を筆者は使っています。
そして、文字だけでなく、イラストの着色や文字の下線・枠を書く時に使用しているのが「コピックスケッチ」(Too)です。均一幅の線をひけるタイプと、筆のように柔らかいブラシタイプの2種類のペン先(ニブ※)が1本に付属しています。速乾で重ね塗りができるのでグラデーション塗りが簡単にできるのが特徴です。
※Tooではペン先のことを、ペン先の正式名称「ニブ」と表記しています。
「プロッキー」と「ポスカ」、「コピックスケッチ」の特徴を以下に記しました。
①プロッキー(三菱鉛筆)
【特徴】透明水性インク。速乾で裏写りにしくい。100円ショップでも手に入る。1本に2種類のペン先が付いている。
【ペン先】極細から太線が書ける角芯の筆記線幅4種類(ペン先太さ0.4~6mm)
【カラーバリエーション】全18色(2023年1月現在)太字は詰替インクあり。
【相性の良い素材】紙(上質紙、コート紙、ダンボール、和紙)、布、木など
②ポスカ(三菱鉛筆)
【特徴】不透明水性インク。速乾ではないがプラスチック・金属・ガラス・写真・鏡・木など様々な素材に書ける。たっぷりとしたインク感で色の濃い色紙でも発色が良く乾けば重ね書きができる。乾燥後耐水性に優れている。
【ペン先】筆圧によって太さを調整できる丸芯としっかりとした太線が書ける角芯の5種類の筆記線幅(ペン先太さ0.7~15mm)。
【カラーバリエーション】全29色(2023年1月現在)
【相性の良い素材】紙(上質紙、コート紙、ダンボール、和紙)、布、プラスチック、金属、ガラス、写真、鏡、木など
③コピックスケッチ(Too)
【特徴】透明アルコール染料インク。速乾で裏写りしにくい(薄紙は多少裏写りする可能性がある)。グラデーション塗りが簡単にできる。
【ペン先】細線から太線が書ける筆のようなブラシと、角芯の2種類の筆記線幅(ペン先太さ0.1~7mm)
【カラーバリエーション】全358色(2023年1月現在)詰替用インクあり。
【相性の良い素材】紙(上質紙、ダンボール、和紙)など
ちなみに、色数と色味は違いますが、コピックに似たペンが100円ショップ「DAISO」で販売されています。使い勝手を試したい方は探してみてください。
温もり感を演出する筆ペン!
個性的な味ある文字を表現できる筆ペンは、簡単に和のイメージや温もり感を演出することができます。筆記線幅やインク色の種類が豊富で、商品やサービスのイメージに合わせて書くことができます。
たとえば、一番大きく書きたいキャッチコピーには「ぺんてる筆」(ぺんてる)の「太字」、商品説明などのコピーや、ひと言POPを書く時には「細字」を使います。
ぺんてる筆は黒1色しかないため、商品やサービスに関連した色を使用したい場合は「アートブラッシュ」(ぺんてる)などを使っています。明るい印象にしたい場合は、明度・彩度の高いスカイブルーやピンク、ライトグリーンなどの色を使うことが多く、逆に温かい印象にしたい場合は、明度・彩度の低いセピアやパープルを使っています。
また、フェルトペンなのに筆ペンのような文字が書ける「筆日和」(呉竹)は、ペン先部分が毛筆タイプより短く固いため安定した文字を書くことができます。商品説明などの小文字を書く時に便利です。
そして、華やかな印象を持たせたい場合は、黒色用紙でも発色の良いラメ入り「ぺんてる筆 金の穂 / 銀の穂」を使用することがあります。豪華な演出になりますので、高額商品やお正月やクリスマスなどのイベントPOPに役立つと思います。
以下、紹介した4つの筆ペンの特徴をそれぞれ解説していきます。
ぺんてる筆(ぺんてる)
【特徴】ナイロン毛の毛筆。墨液タイプは、速乾ではないが滑らかな書き心地でインクがしっかりと紙にのる。水性顔料インキタイプは、乾燥後は耐水性・耐光性に優れ、水を扱う売り場や太陽光が差し込む売り場に適している。
【ペン先】筆記線幅は極細字・中字・太字の3種類。
【カラーバリエーション】黒色のみ(2023年1月現在)カートリッジ式替インクあり。
【相性の良い素材】紙(上質紙、ダンボール、和紙)など
アートブラッシュ(ぺんてる)
【特徴】ナイロン毛の毛筆。水性顔料インキ。乾燥後は耐水性に優れ、水を扱う売場に適している。2色を使用してグラデーションを作ることができる。
【ペン先】筆記線幅は中字のみ。(地域限定で極細字が販売されている)
【カラーバリエーション】全18色(2023年1月現在)カートリッジ式替インクあり。
【相性の良い素材】紙(上質紙、ダンボール、和紙)など
筆日和(呉竹)
【特徴】フェルトタイプ。水性インク。インク垂れの心配がない安定した書き心地。明度・彩度の低い濃いインク色。
【ペン先】筆記線幅は筆圧によって太さを調整できる丸芯(ペン先太さ0.1~4mm)
【カラーバリエーション】全12色(2023年1月現在)
【相性の良い素材】紙(上質紙、ダンボール、和紙)など
ぺんてる筆 金の穂 / 銀の穂(ぺんてる)
【特徴】ナイロン毛の毛筆。水性顔料インキ。黒色用紙でもキレイな発色。速乾ではないが乾燥後は耐水性に優れ水を扱う売り場に適している。
【ペン先】筆記線幅は中字のみ。
【カラーバリエーション】金と銀の2色(2023年1月現在)
【相性の良い素材】紙(上質紙、ダンボール、和紙)など
食品売場でも使える! チョークを活用しよう
最近はチョークで描かれたボードや黒板がお客さまの目と足を止める重要アイテムだと認知されるようになり、カフェの店頭で「チョークアート」を目にする機会も増えました。アーティスティックな表現や温かみを演出できるチョークにもいくつか種類がありますので、こちらも書く素材に合わせて使い分けていただきたいところです。
たとえば、黒板塗料が塗られた黒板や黒板シートが貼られたパネルなどで使用するチョークは、粉が出にくい「スクールシリーズ アートチョーク school series」(日本理化学工業)を筆者は使用しています。発色と黒板への“チョークのり”が良く、指で擦ってぼやかすことでキレイな濃淡(グラデーション)をつけることも簡単にできます。
食品を扱う売場では、主成分が米由来の「ライスワックス」でできている粉が出ないチョーク「キットパス ミディアム」(日本理化学工業)を使用するのがおすすめです。キットパス専用パネル(キットパスリバーシブルパネル)だけでなく、ブラックボードや窓などツルツルした素材にも書くことができ、クリーナー(布など)で簡単に消すこともできるので、さまざまなシーンで活用可能です。
スクールシリーズ アートチョーク school series (日本理化学工業)
【特徴】ホタテ貝殻配合 炭酸カルシウム製チョーク。発色が良く、赤・緑・黒などに着色された黒板でもキレイにチョークがのる。紙に書いてもパステルのような発色。細かく砕いくと水に溶け絵の具のように使用できる。
【カラーバリエーション】12色(2023年1月現在)
【相性の良い素材】黒板(黒板塗料塗装素材)紙(上質紙)など
キットパス ミディアム(日本理化学工業)
【特徴】米ぬか主成分チョーク。窓や鏡などツルツルした素材に書ける。紙に書くとクレヨンのような書き心地。水筆で溶かし絵の具のように使用できる。
【カラーバリエーション】24色(2023年1月現在)
【相性の良い素材】キットパス専用ボード(キットパスリバーシブルパネル)・ブラックボード・窓・鏡・ガラス・アクリル板・紙(上質紙)・布など
今回紹介したペンはいずれも代表的なものです。筆者はほかにもさまざまなペンを使用しています。
最初にお伝えしたように、皆さんが普段から使用している使い慣れたペンで書くことがPOPづくりのハードルを上げず、楽しく書くことができると思いますが、新しい道具を使うことで新たな気持ちでPOPづくりに臨めることもあります。自分に合った道具を見つける楽しみにもなると思いますので、道具選びも楽しんでいただけると嬉しいです。