定番だからこそ見直そう! いま、日本のスーパーマーケットの唐揚げに足りないものとは

解説・文:KTMプラニングR/代表:海蔵寺りかこ
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唐揚げはコロナ禍での伸長が著しく、今や年間1000億円を超えるマーケットを形成している。各スーパーマーケット(SM)の温総菜部門における「顔となる商品」として台頭し、従来、代表商品とされてきた焼き鳥やロースカツ、コロッケなどをしのぐ勢いだ。本稿では、SM各社が発売する7社10種の唐揚げを調査し、SMにおける唐揚げの役割について再考した。そのうえで、さらなる唐揚げの売上拡大のヒントを模索していく。

SMがめざすべき唐揚げのターゲット

 昨今の唐揚げマーケットの拡大は、本格的な唐揚げ専門店の開店ラッシュが起こり、SM各社が追随するように専門店さながらの“本格派”の唐揚げの開発を進めていったことで、とくに大人向けの需要が開拓されたことが背景として大きいのではないだろうか。

唐揚げ イメージ
SM各社が発売する7社10種の唐揚げを調査し、SMにおける唐揚げの役割について再考した。(i-stock/Koshiro Kiyota)

 実際にSM各社のラインアップを見てみると、素材はもちろんのこと、衣はカリッと、中身は肉汁あふれるように仕上げ、なおかつあごだしやスパイスを使用するなどして下味にもこだわった“本格派”の唐揚げが多く見られた。

 こうした総菜としての唐揚げの進化には、別の背景もあると考えられる。あらゆるコストが高騰している中で値上げは避けられないが、単純な値上げではお客からの支持を集められない。そこでなんとか付加価値をつけ、値上げしても満足してもらえる商品開発が求められているというわけだ。そうした潮流が、唐揚げのMDをさらに深掘りしたようにも思える。

 さて、今回このテーマに取り組むにあたり、今一度「唐揚げ」という食べ物自体の位置づけを考え、下調べをする中で、徐々に筆者自身が体験した「唐揚げのある食卓」が蘇ってきた。子供のために揚げて山盛りにして出したり、お弁当の具材として入れたりと、唐揚げはもともと家庭の食卓に欠かせないメニューなのだ。

 そこでさらに深掘りし、各世代、男女別の「好きな食べ物ランキング」を複数調べてみた。すると、とくに小学校低学年以下で唐揚げは「好きな食べ物」の上位にランクインしている。

 さらに、「クックパッド」などのレシピサイトで「唐揚げ」というワードで検索すると、「保育園の唐揚げ」といった子供向けのレシピが目立った。こういったレシピの多くは、醤油や生姜を使ったいたってシンプルな味付けで、子供でも食べやすいよう衣は硬すぎず、大きすぎないサイズの唐揚げである。子供たちに好まれる唐揚げは、こうしたいたってシンプルな唐揚げということなのだろう。

 唐揚げは今や国民食ともいえる存在になった。だからこそ、ニーズの細分化をあらためて認識するべきだろう。つまり、子供が好むようなシンプルな味付けで、ヤングファミリーの簡便時短につながるものから、大人のおつまみ・おかずとして機能する本格派唐揚げまで、幅広くラインアップすることこそ、SMに求められることなのではないか。

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ニーズをとらえ品揃えやSKUに幅を

 こうした視点をもとに、今一度SMにおける唐揚げの品揃えを確認してみた。そのなかで、品揃えの幅に感心したのは

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