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2025年春「リピート買い1位の商品」はたくさん売れた商品と何が違ったか

 ダイヤモンド・リテイルメディアではTrue Dataの「ウレコン」のデータを基に主要カテゴリーのリピート率ランキングを調査。今期は「ウイスキー」「水産缶詰(マグロ・カツオ以外)」「野菜ジュース」「チョコレート」の4カテゴリーを取り上げ、トレンドを探る。

出所:「ウレコン」 
対象期間:2025年2月1日~4月30日 
抽出方法:100以上の商品がある食品カテゴリーに関して、売上個数累計構成比で90%以上の商品のリピート率でランキングを作成

ウイスキー
1.8L以上の大容量タイプの商品が上位に

 今回ウイスキーのリピート率ランキングで1位となったのは、アサヒビールの「ブラックニッカ クリア 紙パック 1.8L」【図表1】。「ブラックニッカ クリア」は、クセのない味わいとスッキリした飲みやすさを実現したウイスキーカテゴリーを代表するブランド。1位の紙パックの1.8Lを筆頭に、2位にPETボトルの4L、8位にPETボトルの1.8L、9位にPETボトルの2.7L、13位に700ml瓶がランクインしており、存在感を示している。

 なかでも1位となった「ブラックニッカ クリア 紙パック 1.8L」は、容器の軽さや廃棄のしやすさ、収納を含めた取り回しのしやすさといった、利便性の高さで幅広いユーザーに受け入れられており、リピート率は39.17%と圧倒的な数値を誇る。

 売上個数ランキングの1位であるサントリーの「角瓶 700ml」【図表2】は、リピート率ランキングでは18位であり、「同 2700ml」が4位、「同 ジャンボボトル 1920ml」が11位に入っている。さらに同社の「トリス<クラシック>」ブランドも、「同 2.7L」がリピート率ランキングで6位、「同 1.8L」が7位、「同 4L」が10位、「同 700ml」が14位となっている。

【図表1】ウイスキーリピート率ランキングTOP20(2025年2月~4月)
【図表2】ウイスキー売上個数ランキングTOP20(2025年2月~4月)

 ウイスキーの定番は700ml以下の瓶商材であり、売上個数ランキングでみると1位から5位までがすべて700ml瓶で占められているが、リピート率ランキングでは1.8Lから4Lの大容量タイプの商品が上位にきている点が特長だ。

 ヘビーユーザーはよりお得感のある大容量品を選ぶ傾向にあり、中でも1000円前後のエコノミータイプは、既存ユーザーによるレギュラーサイズからの大容量化が進んでいる。

 主要なユーザーが50代を中心に中高年層ということもあり【図表3,4】、今後は若年層を中心としたトライアルの獲得が重要な課題となっている。

【図表3】ウイスキーと「ブラックニッカ 紙パック 1.8L」の男女比(2025年2~4月)
【図表4】ウイスキーと「ブラックニッカ 紙パック 1.8L」の年齢層(2025年2~4月)

水産缶詰(マグロ・カツオ以外)
缶詰高騰で注目されるパウチタイプ

 水産缶詰カテゴリーでリピート率ランキング1位となったのは、はごろもフーズの「さばで健康 和風トマト味(パウチ)90g」だ【図表5】。

 同社の「健康シリーズ(パウチ)」は、さば・いわし・さんまといったDHA・EPAが豊富に含まれる青魚を手軽に摂取できる調理済みのパウチで、現在はさば5種、さんま3種、いわし5種の計13SKUを展開。なかでも「さばで健康 和風トマト味」は2013年の発売当時から支持されているロングセラー商品で、さばと相性の良いトマトを合わせ、みそを使用することで和風に仕上げている。

 売上個数ランキングで見ると、水煮の他、さばやいわしの味噌煮が大半を占めているが【図表6】、リピート率ランキングでは1位の「さばで健康 和風トマト味」、4位の「あけぼの いわしトマト煮 EO OV6 100g」のトマト味をはじめ、13位の「宝幸 日本のいわし 梅じそ風味 140g」、18位「いわしで健康 しょうが煮 90g」など味のバリエーションが豊かになる。さらに2位「あけぼの さけ EO F3 90g」および 19位「あけぼの さけ T2号缶」といったさけ缶もランク内に入るなど、特定の味種や魚種にリピーターがしっかりと付いていることが伺える。

【図表5】水産缶詰(マグロ・カツオ以外)リピート率ランキングTOP20(2025年2~4月)
【図表6】水産缶詰(マグロ・カツオ以外)売上個数ランキングTOP20(2025年2~4月)

 水産缶詰(マグロ・カツオ以外)カテゴリー全体と「さばで健康 和風トマト味(パウチ)90g」の購入者属性を比較すると、「さばで健康 和風トマト味(パウチ)90g」はカテゴリー全体と比べて女性の比率が高く【図表7】、40~60代の構成比が高くなっている【図表8】。

 近年の物価高騰により缶詰の価格が上昇傾向にある中、比較的影響が少ないパウチタイプへと、ユーザーがシフトする動きも見られている。さらに、水産缶詰の主な販売チャネルは食品スーパーだが、近年はドラッグストアが食品を強化していることもあり、ドラッグストアでの採用も増加。健康感の強い青魚の水産缶詰はドラッグストアの客層との相性も良いことから、今後も取り扱いが増えていきそうだ。

【図表7】水産缶詰(マグロ・カツオ以外)と「さばで健康 和風トマト味(パウチ)90g」の男女比(2025年2~4月)
【図表8】水産缶詰(マグロ・カツオ以外)と「さばで健康 和風トマト味(パウチ)90g」の年齢層(2025年2~4月)

野菜ジュース
手軽に野菜を摂取したいシニア層からの支持集める

 野菜が不足しがちな食生活の中で手軽に栄養を補う手段の一つとして人気のある野菜ジュース。同カテゴリーのリピート率ランキングで1位となったのは、伊藤園の「1日分の野菜 900ml」だ【図表9】。

 同品は生労働省が推奨する1日の野菜摂取目標量「350g分」を使用し、30種の野菜のおいしさをぎゅっと濃縮して仕上げた野菜汁100%のチルド飲料。手軽に野菜不足を補うだけでなく、野菜を絞る過程で減少してしまうビタミンC、β-カロテン、カルシウム、カリウム、マグネシウムも補えるように設計されている。

 「1日分の野菜」ブランドは、飲み切りサイズの200ml紙パックのほか、190g缶、740gPETなどさまざまな容器・容量で商品を展開。売上個数ランキングでは2位に「同 200ml」、13位に「同 900ml」がランクインしたが【図表10】、リピート率ランキングでは「同 900ml」が1位、   「同 200ml」は19位となっており、リピート率で見るとファミリーサイズの商品が上位に来ることがわかる。チルドタイプである「同 900ml」は、店舗でも主通路に面した冷蔵ケースに陳列されることが多く、来店客の目に触れる機会が多い点もリピート率に影響していそうだ。

【図表9】野菜ジュースリピート率ランキングTOP20(2025年2~4月)
【図表10】野菜ジュース売上個数ランキングTOP20(2025年2~4月)

 「1日分の野菜 900ml」の購入者属性を見ると、野菜ジュースカテゴリー全体と比較して男性の比率が高く、年齢層は野菜ジュースカテゴリーの購入者は50代の割合が最も高いのに対して70代が最も多いという特長がある【図表11】。また購入時間帯を見ると、シニア層のユーザーが多いという特長から、9時から11時の午前中の購入が目立っている【図表12】。

【図表11】野菜ジュースと「1日分の野菜 900ml」の男女比と年齢層(2025年2~4月)
【図表12】野菜ジュースと「1日分の野菜 900ml」の購入時間(2025年2~4月)

チョコレート
価格高騰の影響受ける一方で健康訴求商品は好調

 近年、樹木の老朽化や病気により西アフリカ諸国のカカオ豆の出荷数が減少。さらに欧州各国でカカオの需要が高まり価格が高騰したことで日本国内のチョコレート菓子の価格にも影響を与えている。

 今回、リピート率ランキング1位となったのは、明治の「チョコレート効果 カカオ72% 225g」【図表13】。売上個数ランキングTOP20にランクインした商品で、リピート率ランキングTOP20にランクインしたのは5品だった【図表14】。

【図表13】チョコレートリピート率ランキングTOP20(2025年2~4月)
【図表14】チョコレート売上個数ランキングTOP20(2025年2~4月)

 「チョコレート効果」は、カカオポリフェノールが豊富な高カカオチョコレートブランドとして、1998年の発売以来、健康意識の高い大人世代からの支持を集めているロングセラー商品だ。

 同ブランドは、「カカオ72%」「カカオ86%」「カカオ95%」と、カカオ分の含有率別に3種類をラインアップしており、定番の箱タイプ、26枚入りタイプ、手軽に持ち歩けるパウチタイプ、個包装が入った大容量タイプなどを展開する。リピート率ランキング1位となったのは「チョコレート効果 カカオ72%」の大袋タイプで、20位には箱タイプもランクインしている。同品の購入者は毎日の食生活に取り入れたいと考える人が多いことから、よりお得感のある大袋タイプがリピート購入されているとみるべきだろう。

 「チョコレート効果 カカオ72% 225g」の購入者属性を見ると、チョコレートカテゴリー全体と比較し、男性の比率が若干多い【図表15】。また年齢層を見ると、カテゴリー全体の購入者は40・50代の割合が高いのに対し、同品は購入者の年齢層が高く、60代以上、中でも70代の割合が突出している。購入時間帯を見ると、シニア層のユーザーが多いという特長から、10時から11時に多く購入されている【図表16】。

【図表15】チョコレートと「チョコレート効果 カカオ72% 225g」の男女比と年齢層(2025年2~4月)
【図表16】チョコレートと「チョコレート効果 カカオ72% 225g」の購入時間(2025年2~4月)

 菓子類は嗜好品であり、昨今の価格高騰の影響から買い控えの対象になりやすいが、「チョコレート効果」は健康食品のような感覚で購入する層が多く、安定した売り上げに繋がっていると推察される。

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