
人々のライフスタイルはコロナ禍前に戻ってきたものの、外的要因に伴う値上げの影響もあり消費者の節約志向が続いている。
今回は2024年10月から25年3月までの金額増減率の高かった商品を各カテゴリーからピックアップ。好調の要因と消費のトレンドを探る。
提案の切り口を変え、トライアルを促進する
KSP-POSの中から金額構成比1 % 以上の商品を対象(CGC商品および対象期間の前年10月までに出現のない商品は除外)とし、2024年10月から25年3月までの金額増減率を調査したところ、主要カテゴリーのトップ商品は【図表】のような結果となった。
人流を含め消費者のライフスタイルはコロナ禍以前の状態に戻りつつあるが、ロシア・ウクライナ情勢による物価上昇や円安などの影響もあり、消費者の食品や日用品に対する財布の紐は固い。こうした状況下、ランキングのカテゴリー1位に挙がった商品は、信頼感のあるロングセラーブランドや各メーカーの基幹ブランドが多くを占めている。
エバラ食品工業の「プチッと鍋」は、人数や好みに合わせて鍋を楽しむことができるポーションタイプの鍋の素。中でも「プチッと鍋 濃厚みそ鍋」は2種の米みそをベースに豚骨のうまみと香味野菜を利かせたコク深い味わいで、ごま油で風味豊かに仕上げている。同ブランドでは肉野菜炒めの味付けに「プチッと鍋」を使用した“プチッと炒め”の提案を行うなど、鍋つゆ以外にも使える、調味料としての汎用性の高さも訴求している。
日本コカ·コーラの緑茶飲料ブランド「綾鷹」から23年に発売された「綾鷹 濃い緑茶」は茶カテキンを含む機能性表示食品で、内臓脂肪と皮下脂肪を減らす機能が報告されている。健康機能に加え、味わいの評価も高く、濃い緑茶カテゴリーの中では女性の購入比率が高い点も特長だ。同品は25年5月にリニューアルを実施。「綾鷹」の特長であるうまみを引き立てつつ、苦み・渋味・後味を見直し、容量も650mlへと増量している。
カバヤ食品「セボンスター」は女児向け玩具菓子を代表するブランド。発売45周年を迎えた24年は販促を強化。過去の人気アクセサリーを復刻したメモリアルシリーズを発売したほか、大人世代への訴求として、宝石専門通販の「KARATZ(カラッツ)」とコラボした「大人のセボンスター」を発売。多面的な施策と昨今の平成レトロブームの追い風もあり、大きく伸長した。
アヲハタの「アヲハタ まるごと果実」は、ごろりとした果肉とさわやかでフルーティーな香りやみずみずしさが特徴のロングセラーブランド。18年発売の「りんご」は甘くシャキシャキとした食感の赤りんごと、酸味と香りがさわやかな青りんごをバランスよく組み合わせ、コクがありながらもすっきりとした後味に仕上げている。
若年層や女性など新たなユーザーを獲得
コロナ禍以降も節約志向から、家飲みの需要は続いている。白鶴酒造の「白鶴 淡雪スパークリング」は、白鶴独自の酵母で醸したスパークリングタイプの日本酒。25年春のリニューアルではマスカットのような味わいを生み出す新酵母を採用することで、よりさわやかでジューシーな味わいへ進化。女性や若年層といった新たな顧客を獲得している。
白鶴酒造を通じ日本に再上陸した「ZIMA」は、クールでスタイリッシュな世界観を持つ輸入RTDとして独自のポジションを獲得。フルーツとの相性がよいことから、今期はカットフルーツやジュースとMIXすることで、よりおいしく楽しめる点を店頭やSNSを通じ情報発信していく予定だ。