キーワードは「信頼」とリスク回避! @コスメベスコス2025から見る「バズコスメの新常識」

植芝 千景 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

信頼できる「成分主義」が重要なキーワードに

 高価格帯への支持を支えているのが、「信頼できる成分主義」と「技術力への確信」である。総合大賞のTHE ANSWERをはじめ、2位の「コスメデコルテ・ルージュデコルテクリームグロウ」、4位の「SK-II・ジェノプティクスインフィニットオーラ エッセンス」など、上位入賞アイテムはいずれも「長年の研究」「独自技術」「科学的エビデンス」といった裏づけ情報を前面に押し出している。

2位の「コスメデコルテ・ルージュデコルテクリームグロウ」
2位の「コスメデコルテ・ルージュデコルテクリームグロウ」

 実際、「@cosme」ユーザーアンケートでも、「お金をかけたい化粧品」としてもっとも重視されたのは、「研究開発・技術力の高さに裏付けされたもの」(約66.6%)、次いで「長年にわたり研究されているもの」(約59.7%)という結果だった。

「@cosme」ユーザーアンケートでも、「お金をかけたい化粧品」として最も重視されたのは、「研究開発・技術力の高さに裏付けされたもの」(約66.6%)、次いで「長年にわたり研究されているもの」(約59.7%)という結果だった
「@cosme」ユーザーアンケート

 また、どんな成分を配合するかを重視する「成分買い」トレンドも継続している。たとえば、総合3 位の「&be ・ブラックスポンジ」は、リニューアルを機にヒアルロン酸を配合。「ヒアルロン酸が配合されたことにより、柔らかなふわふわ感が増した。肌負担が軽減されてうれしい」といったクチコミが投稿されるなど、高い支持を獲得した。

 さらに、こうした商品の強みを生活者に分かりやすく伝えるうえで、専門家や元化粧品開発者などのインフルエンサーの存在も不可欠だ。複雑な成分や技術をかみ砕いて伝え、実際の使用感とともにリアルな評価を発信することで、「専門家が薦めているなら間違いない」という信頼感がいっそう強化されている。

 「なぜその成分が選ばれたのか」「どのような研究で裏づけられているのか」といった根拠が明確に示され、消費者が納得できる説明がなされていること。それこそが、今や“信頼できる商品”の必須条件となりつつある。

 25年のベストコスメは、「信頼できる技術・成分・体験」「価格に納得できる裏づけ」「専門家やユーザーの生の声」といった、“信頼感”をキーワードに大きな転換点を迎えたことを示している。

 商品選択の基準はますますシビアに、そして「本当に信じられるもの」を求めて深化し続けている。今後も、この“信頼感”の醸成こそが、ヒット商品・ブランドの条件となりそうだ。

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記事執筆者

植芝 千景 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

同志社大学大学院文学研究科(国文学専攻)修士課程修了後、関西のグルメ雑誌編集部を経て、ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。関西小売市場やDX領域を中心に取材・執筆を担当している。現在は大阪府在住。

まとまった休日には舞台・映画鑑賞を楽しむほか、那智勝浦へ弾丸旅行に出かけることも。世界各国の家庭料理を再現するのも趣味のひとつだが、料理に入れたスパイスで歯が欠けたので今は控えめに取り組んでいる。

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