食用油市場、24年度は金額維持も数量は前年割れ 付加価値商品へのシフトがカギに

山田 陽美
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食用油市場は家庭内調理機会の増加や原料価格高騰の影響で拡大を続けてきたが、24年度は金額ベースは前年並み、物流ベースでは前年割れとなった。汎用油の低迷に加え、オリーブオイルの値上げにより使用量が落ち込んだことが要因だ。一方で、こめ油やごま油に加え、メディア露出により注目度が高まっているアマニ油などは好調だ。

こめ油は好調を継続、健康効果と利便性で高い支持

 2024年度(24年4月~25年3月)の食用油市場は、金額ベースで対前年同期比0.2%減、物量ベースで同3.5%減となった。家庭内調理機会の増加や原料価格高騰を背景に、これまで金額ベースで堅調に推移していたが、24年度は減少に転じた。

食用油 イメージ
食用油市場は家庭内調理機会の増加や原料価格高騰の影響で拡大を続けてきたが、24年度は金額ベースは前年並み、物流ベースでは前年割れとなった(i-stock/zeljkosantrac)

 カテゴリー別にみると、キャノーラ油が金額ベースで同11.2%減、物量ベースで同0.5%減。さらに低吸油は金額で同25.8%減、物量で同18%減と、いずれも前年を下回った。これは、クッキングオイル全体の店頭価格が落ち着いたものの、需要回復には至っていないことを示している。

 一方で、依然高い成長を続けているのが、こめ油だ。金額ベースで同9.3%増、物量ベースで同10.9%増と伸長。米ぬか由来の機能性成分が健康意識の高い消費者から評価されており、さらに揚げ物がカラッと仕上がる利便性が、市場での定着を後押しした。汎用油の店頭価格上昇により、一部の消費者がワンランク上の油へとシフトしていることも、こめ油の伸長を支えている。

 今後の市場拡大に向けて、汎用油から付加価値型クッキングオイルへの切り替えを訴求していくことが重要となる。日清オイリオグループは、揚げ物の吸油量を減らせる「日清ヘルシーオフ」や、酸化を防ぎ開封後も鮮度が長持ちする「日清ヘルシークリア」など、機能性と利便性を兼ね備えた商品を展開している。

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