ロングセラーブランド成功の秘訣、キーワードは「ユーザーの囲い込み」

小林 すず子(株式会社ライフスケープマーケティング)
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「安心」「信頼」という価値

 ここまで2ブランドの食卓動向を見てきたが、そのユーザーにはどのような特徴があるだろうか。食MAPモニタから収集している食生活に関するアンケートを分析した結果が【図5、6】だ。数値は「ブルガリアヨーグルト」と「マ・マー」それぞれのユーザーと非ユーザーの回答率である。

【図5】 ブルガリアヨーグルトユーザー・非ユーザー別 食生活意識回答率と【図6】 マ・マーユーザー・非ユーザー別 食生活意識回答率

 結果より、両ブランドのユーザーは、「高くても良い食品を買いたい」、「安全性が不安な食品は買わない」という項目の回答率が非ユーザーよりも高い点で共通していた。したがって、これらのユーザーには多少値段が高くても、自分が安心して使える食品を選びたいというニーズがあると考えられる。

 このような生活者をユーザーとして獲得し、味や安全などブランドへの信頼で勝負できたことも、これらのロングセラーブランドが長年棚争いを勝ち抜いてきた要因の1つと考えられる。

ロングセラーブランドにこそ求められる挑戦の姿勢

 今回食卓データの分析を通して、ロングセラーブランドがロングセラーたる秘訣は、「ユーザーの囲い込みに成功していること」であると考察した。市場への浸透を果たした商品をブランドとして育ててゆくメーカーにとって、その商品の基本的なイメージを維持する守りの姿勢は重要だろう。

 一方で、その時代時代の生活者が抱えるにニーズに寄り添い、商品に変化を与え続ける挑戦の姿勢もまた同時に必要なのではないか。ユーザーがどんな気持ちのときでも、応えてくれる商品がいつものブランドから出ている。この安心感がユーザーのロイヤリティの向上、ひいてはブランドのロングセラー化へとつながるのではないだろうか。

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