青果売場を本当に進化させるための「販売計画」の立て方とは

文:塩原淳男
構成:西岡 克(フリーランスライター)
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今回は青果売場における「販売計画の立て方」について解説したい。売上を最大化するための基本中の基本と言える取り組みだが、だからこそ間違ったやり方をしていてはお客の離反と売上減少に直結する。

前年実績に基づいた“焼き増し”の繰り返しでは、お客や市況の変化に対応できない。

「52週MD」は「販売計画」ではない

 食品スーパー(SM)における販売計画に関して散見されるのが、「52週マーチャンダイジング(MD)」と同義にとらえるという向きだ。しかし52週MDはあくまで販促を考えるうえでの「テーマ」であり、「計画」ではない。

青果売場の目玉商品
販売計画は策定して終わりではなく、実行後の検証を含めてPDCAサイクルをしっかり回すことが重要だ(写真はイメージ)

 そもそも販売計画を立案する目的は、「自店にとって次に解決すべき課題は何か」を可視化することにある。

 しかし青果売場に限らず、多くのSMでは各部門で前年に展開した商品や売場づくりをなぞるだけだ。新たに仮説を立てることをしないので、売場が変化せず、どんどん陳腐化していく。そして気づいたときには顧客ニーズとの乖離が広がっている。これが実態である。

 販売計画を策定するうえで前提になるのは、自店の顧客の理解である。誰に売るのか、売りたいのかが明確でないと販売計画はつくれない。ターゲットがあやふやなまま、お客のニーズを深掘りして仮説を立てることもなく、「販売計画=52週MD」という勘違いをしたまま毎年同じことを繰り返しても、売場は進化するはずがないのである。

 もう1つ強調しておきたいのが、「販売計画」と「実行計画」を分けて考えることだ。それぞれ順に見ていこう。

 繰り返しになるが、販売計画をつくるためには、自店のターゲット顧客の像を明確に決める必要がある。家族構成、年齢層もある程度絞り込まなければならない。かつ、たとえば「ヤングファミリー」と一口に言っても、所得の違いや価値観によってライフスタイルは異なるから、より細かなセグメントを設定すべきだ。

 そのうえで、そのターゲット層がどんな食生活をしているかをイメージする。彼らが優先しているのは「おいしさ」か、「健康」か、「価格」なのかといった具合に、優先度の高いニーズを定義する。

 そして次が仮説づくりだ。朝昼晩の食事シーンに、どんなメニューが求められていて、自店でどう提案するかを考える。たとえば生活に余裕のあるシニアの夫婦をターゲティングするのであれば、「健康的で、おいしく適量」というニーズが仮説として立てられるかもしれない。であれば、生鮮各部門では安全・安心にこだわりつつ、食べ切りサイズを常に提供するという対応をとる、といった具合である。

 ここで重要なのは、

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