相場は平年並み予測も販売力が問われる! 25年秋の青果MDの方向性

解説・文:藤井 俊雄(オフィス・フジイ)
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2024年秋の青果市場は、異常気象による不作や相場高の影響で、野菜・果実ともに販売が低迷した。25年秋は、天候が平年並みに推移すれば供給は回復する見通しだが、前年の反動をふまえた計画の策定が不可欠となる。

本稿では、24年秋の市場動向を振り返りつつ、25年秋に向けた具体的な販売戦略を解説する。

市況分析&今秋の方向性

24年の反動を見据えた計画を

 まずは青果部門の販売傾向をおさらいしたい。野菜は相場が高騰しても食卓に欠かせないため、購買量が大きく減少することは少なく、売上が維持されやすい。

 一方で果実は嗜好品として認識されがちで、価格が上昇すると購入頻度が落ち込み、売上が低迷しやすい。こうした傾向をふまえ、昨年の市場動向を振り返りながら、25年の売場づくりの方向性を考えていく。

 24年夏から秋にかけての天候不順は、主力果実や野菜に加え、米に至るまで青果物全般に深刻な影響を及ぼした。

 農産物の相場において、天候要因による価格変動は通常20~30%程度にとどまる。しかし昨年は異常高温による生育不良で、価格が前年比で200~300%にまで高騰する異例の事態となった。

 たとえばリンゴは、例年1個100~150円で販売されるが、2年連続の気象異常を受けて、200~300円が当たり前の価格帯にまで上昇した。

 キャベツは通常1玉150円前後が相場だが、昨年秋から今年の年明けにかけては400円を超える価格で推移。大根も1本150円程度から300円以上へと高騰した。白菜、人参、ネギ、キュウリ、トマトなども軒並み異常高となり、消費や販売に大きな影響を及ぼした。

キャベツ畑
キャベツは通常1玉150円前後が相場だが、昨年秋から今年の年明けにかけては400円を超える価格で推移した

 こうした背景をふまえ、25年秋の販売計画では、価格高騰と販売不振の反動を見据えたうえで、品目ごとの相場動向や構成比の変化を丁寧に分析し、具体的な施策を講じる必要がある。

 まずは24年のPOS実績を確認し、前年比で売上が110%以上となった品目や90%を下回った品目など、変化の大きかったカテゴリーをリストアップする。とくに昨年相場高となったキュウリ、トマト、ナス、キャベツ、レタス、ブロッコリー、玉ネギといった野菜には注意が必要だ。

 今期、価格が平年並みに戻るとすれば、前年と同水準の売上を維持するのは難しく、前年比90%程度の着地を見込んだ販売計画が現実的だ。過度なチラシ販促や値引きは避け、品質のよい商品に値ごろ感のある価格をつけて販売したり、徳用規格を導入したりするなど、消費者の需要を着実に取り込みつつ、収益性を損なわない販売施策が求められる。

 一方、果実類は

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