健康・機能性食品市場の動向は?顕著な動きのあった4つのカテゴリーを取り上げてレポート

ライター:室作幸江
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糖質オフ・ゼロ系ビール類

長引くコロナ禍で健康志向が定着、自粛太り対策として市場は好調継続

糖質オフ・ゼロ系ビール類金額推移(全国)2020年8月~2021年7月と糖質オフ・ゼロ系ビール類主要ブランド別金額前年比(全国)2020年8月~2021年7月
【対象商品】4大メーカー(オリオンビールはアサヒビール扱い)のみ糖質オフ・ゼロ商品

糖質ゼロビールが好調、昨秋の酒税改正が追い風に

 コロナ禍で市況が好転した糖質オフ・ゼロ系ビール類だが、その勢いはとどまる所を知らず、2020年10月から21年7月まで前年比プラスを継続している。20年9月はマイナスに転じているが、これは前年に消費税増税前の買いだめがあった裏返しであり、例外とみなしてよいだろう。

 こうした好調の要因は、コロナ禍で自粛太りを懸念する消費者が増えていることにある。「どうせ飲むなら、健康的なものを飲もう」という意識が働き、糖質オフ・ゼロ系ビール類へのニーズが上がっている。長引く巣ごもり生活下の健康志向がビール愛飲者の嗜好にも変化を与えたと推察される。

 それを象徴するのが、20年10月にキリンビールから発売された日本初∗1の糖質ゼロ∗2ビール「キリン 一番搾り糖質ゼロ」の好調ぶりだ。普通のビールを飲みたいが、健康のために機能系を選んでいる消費者の支持を獲得。加えて、20年10月の酒税改正でビールが減税となり、販売価格が下がったことも追い風になって、売上を順調に伸ばしている。さらに21年4月には、サントリーからも糖質ゼロビール「パーフェクトサントリービール」が登場。ビール、発泡酒、新ジャンルのいずれのカテゴリーにも糖質オフ・ゼロ系ビール類が出揃い、市場はこれまでになく活況を呈している。

市場を力強くリードするキリンビールの3ブランド

 売上ランキングの上位ブランドが金額シェアを下げるなか、「キリン 淡麗プラチナダブル」は好調に推移し、金額構成比13%前後を維持している。20年8月にリニューアルを行い、プリン体ゼロ∗3×糖質ゼロ∗4でありながら、さらにビールに近い味わいを実現したことで支持を集めたようだ。

 また、「キリン 一番搾り糖質ゼロ」は、発売直後の同14.8%から若干低下したものの、安定して同11%を維持している。

 糖質オフ・ゼロ系ビール類市場のトップブランド「キリン 淡麗グリーンラベル」も含め、キリンビールの機能系3商品が市場の活性化に貢献しているのがうかがえる。実際、21年7月の売上ランキングをみると、トップ10の中にこれらのブランドによる5商品がランクインしている。

 ランキングの大半は6缶パックで占められているが、これは指名買いしているからであり、糖質オフ・ゼロ系ビール類が消費者の生活に定着している証ともいえる。

∗1 ビールで糖質ゼロを実現した国内で初めての商品(Mintel GNPDを用いたキリンビール調べ) ∗2 100ml当たり糖質0.5g未満のものに表示可能(食品表示基準による) ∗3 100ml当たりプリン体0.5mg未満を「プリン体0」と表示 ∗4 食品表示基準による糖質オフ・ゼロ系ビール類売上ランキングトップ20 2021年7月/全国

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