生鮮売上高のコロナ反動減に効く妙薬はあるのか?ベジスコア、スキンパック、消費者の関心を引く試みとは

宮川耕平(日本食糧新聞社)
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日持ちする生鮮のシズル感

 コロナ禍の買物行動で特徴的なことの一つが、来店頻度の減少です。売上を大きく伸ばしたSM各社も、客数だけは落としたところがほとんどです。生鮮はそうした行動変容の中で伸びたわけですから、消費者は生鮮3品も以前よりはまとめ買いをしているということなのでしょう。そうなると、生鮮の消費期限も長くあって欲しいというニーズが高まります。つまり冷食は便利というわけで、生鮮3品の売場でも冷凍カテゴリーの存在感が増しています。

 冷凍でも生鮮の素材感を表現できる方法として、真空パック(スキンパックとも呼ばれる)は面白いようです。この技術のメリットには、消費期限が伸びることや家庭でのストックスペースの圧縮、使用後のゴミ削減などがあるのでしょうが、さらに売場での見た目が楽しくて良いと思います。水産売場では、店内設備で干物や切り身をパッキングする事例が増えています。

 真空パックの商品は、素材のかたちそのままにフィルムが密着して、形状や重量感を触覚で感じることができます。凍っているため質感まで分かるわけではないですが、トレーに入った素材をフィルム越しに眺めるのとは違ったシズル感があります。

消費期限が伸びて見た目にも楽しいダイエーの真空スキンパック精肉

 ダイエーでは、19年から精肉のチルド商品に「真空スキンパック包装」を取り入れており、イオンリテールの一部店舗にも導入されています。黒いトレーの上に、まるで置かれただけのように見えるビーフステーキの立体感は魅力的です。チルドですから、触れると肉の質感も伝わってくる気がします。YouTubeのダイエー公式チャンネルによると、通常のパッケージより消費期限は最長で10日間長くなるそうです。

 廃棄ロス削減や環境負荷の軽減といった観点からも、消費期限を伸ばす技術の進化は続くでしょう。しかしそこは生鮮ですから、見た目のシズル感も大事ではないでしょうか。生鮮品も買いだめという選択肢が充実していけば、スーパーの来店頻度はコロナ禍に関係なく、これからも下がってしかるべきかもしれません。

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