スーパーに卸売りする理由は? 「オーガニックはまち」の養殖でくら寿司がめざすものとは

若狭 靖代(ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
Pocket

厳しい認定基準を満たした「オーガニックはまち」

 取り組み第一号にはまちを選んだ理由について、くら寿司広報の黒見氏は「非常に人気が高く、海外でも日本で水揚げされる代表的な魚として認知が高まっている。また、はまちは国内での養殖実績が多く、ノウハウが蓄積している」ことを挙げた。

 「オーガニックはまち」の養殖を実際に行ったのは、くら寿司と長年取引をしてきた水産加工・販売業者である丸徳水産(徳島県/佐野木凡社長)だ。同社は、過去には徳島名産のすだちの果皮を配合した飼料で育てた「すだちぶり」や、ハーブ仕立飼料で育てた「ハーブぶり」などのブランド魚を商品化した実績がある。今回、くら寿司側の丸徳水産への高い評価と、丸徳水産のチャレンジ精神が合致し、実現に至ったかたちだ。

 とはいえ、「オーガニックはまち」の養殖実現にはかなりの苦労があった。前述の認定を取得するためには、厳しい基準をクリアしなくてはならない。まず飼料は、持続可能な漁法で漁獲された天然の魚や、化学処理を行っていない天然添加物など使用できる素材がかなり限定されている。また養殖環境についても、高い水質基準はもちろん、オーガニック水産物とそれ以外の魚の養殖網を、物理的に80m以上開けることなど高いハードルが設けられている。

養殖の様子。厳しい条件を満たす養殖場は貴重だ

 なかでも、既存の養殖場を使用することができないという、環境に関する基準はとくにクリアが難しかった。養殖に適切な場所はすでに養殖場として使用されている場合が多いため、「養殖に適切」でありながら、「既存の養殖場から隔離されている」という条件はある意味相反しているためだ。この条件を満たすため、くら寿司と丸徳水産が協力して探索、和歌山の「衣奈(えな)漁場」に新たに養殖場を確保、20年7月に「オーガニックはまち」の養殖をスタートさせることができた。

1 2 3

人気記事ランキング

© 2022 by Diamond Retail Media