EDLPの成功で拡大続くスーパーマーケットの冷凍食品 新たに浮上した課題とは何か

2021/05/17 05:57
    山本純子(冷凍食品ジャーナリスト)
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    ショーケースの扉を超えた提案

     2014年はイトーヨーカ堂が5割引終了宣言をした年、そしてダイエーがイオンの完全子会社になった年として感慨深く思い出される。日本のSMの冷凍食品売場第1号は1963年、ダイエー三宮店だった。当時の苦労を元ダイエー専務取締役の川一男氏が冷凍食品新聞社刊の書籍で語っている(1989年「冷食事始」)。冷凍食品売場の構築は、まず川氏自身がアメリカに行き、八尺換算の大きさのショーケースを持ってくることからのスタートだったという。それから約50年を経て、ダイエーはイオングループになった。その頃には、冷凍食品売場はリーチインショーケースへと切り替わりつつあった。

     現在の売場は、リーチイン+販促企画の平ケースといった構成が一般的だろう。消費者もこの構成に徐々に慣れてきて、リーチイン化による売上減の悩みも少なくなっているだろう。一方メーカーでは、見栄えの良いタテ型ピロー包装の導入を進めてきた。しかし、買物客にとって分かりやすい売場づくりはまだまだ工夫が必要だろう。どこにどのような商品があるのか、メニューに結び付く提案ができているのかという視点で売場を見てみるといまひとつの店が多い。今こそ、提案力のある売場づくりを再考してみてはどうだろうか。

     一方で、コンビニエンスストアの冷凍食品の過去5年ほどの歴史を振り返ると、売上が良いのはセブン-イレブンの平ケースだ。シズル写真を商品の全面に配し、今すぐに食べたいメニューが視覚的に分かりやすいのである。SMの冷凍食品売場は何年経っても、いつまでも、EDLP訴求だけだ。スーパーでシズル感を演出するには、例えば試食提案販売、それが難しければ、食卓イメージの展示や写真、メニュー写真のPOPや、書店のような店員のお勧めコメントの掲出などが有効なのではないかと思う。

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