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イオン、持続可能性への挑戦!PBチョコのフェアトレード構成比100%をどうめざすか

イオングループのプライベートブランド(PB)「トップバリュ」の開発を手掛けるイオントップバリュ(デイビッド・ロペス社長)と、認定NPO法人フェアトレード·ラベル·ジャパン(FLJ)は、 2021年3月、「カカオ調達に関する覚書」を締結した。トップバリュではコーヒー製品が先行しているが、チョコレートで使用するカカオについても、2030年までに100%を持続可能な裏付けが取れたものへ転換する。

イオンはPBチョコレートのフェアトレード構成比を8年で100%にする

より人権を尊重した公正取引を推進

 イオントップバリュでは、自然資源の持続可能性と事業活動の継続的な発展との両立を目指し、これまでに「イオン 持続可能な調達原則」に基づいた商品調達を行っている。「持続可能な裏付け」の根拠として、同社は「イオンが認定する第三者認証を取得した原料を使用していること」「生産者や労働者が抱える社会課題の解決に向けたプロジェクトをイオンが直接支援し、生産地の持続的な発展に寄与していること」とし、いずれかもしくは両方を満たすこととしている。

 コーヒーとカカオで持続可能な調達を推進する背景について、イオン環境・社会貢献担当の三宅香氏は「2つの原料は気候変動の影響等で生産量が不安定なことに加え、投機筋の影響を受け、相場が乱高下する傾向がある。こうした価格変動が生産者の貧困、子どもの教育、児童労働につながっている」と説明した。

 FLJの中島佳織氏は「カカオ産業におけるサステナビリティへの取組みは進んでいるものの、カカオ豆農家への支払価格についてはほとんど取り組まれていない。国際認証のなかでも価格基準を設けるのはフェアトレードのみ」と補足。同認証が開発途上国の生産者が自らの力で暮らしを向上できるよう支える仕組みとなっていることを示した。

日本市場のフェアトレード認証カカオの販売量は世界のわずか0.16%

 中島氏はさらに、「環境・社会・人権に配慮した国際スタンダードレベル (フェアトレード)のカカオを生産してもそのうちの50%以上は通常貿易で売買され、生産者がコスト負担を強いられている」と指摘。その上で、 「日本市場におけるフェアトレード認証カカオの販売量は、 世界のわずか0.16%にすぎない」とし、フェアトレード認証カカオの国内におけるさらなる普及の必要性を訴えた。

 今回、同社が締結した覚書は、フェアトレードのカカオの調達量における拡大目標を設定し、 調達量拡大のため、 「国際フェアトレード原料調達制度」を活用していくもので、より人権を尊重した公平取引を推進していくことを示すものとなる。これに伴い、同社は、FLJと 協業し、普及活動も実施していく。

今後8年でPBチョコの構成比を100%に

 製品の認証制度を2004年から採用し、日本のフェアトレードを先行する同社は、今回のFLJとのカカオ調達に関する覚書締結に伴う拡大目標も発表。PBチョコレー ト全体に対する フェアトレード 構成比を2020年度までに25%、2025年度までに50%、そして2030年度までに100%とするマイルストーンを示した。

 併行して、商品計画として既存PB商品の売れ筋を中心に「国際フェアトレード 原料調達制度」で調達した原料へ切替えるとともに既存PB商品にはない新たなPB商品を開発し、その原料にフェアトレード認証原料 を使用するプラン明かした。

 さらにフェアトレードの普及活動も推進し、5月をフェアトレード月間として 従業員へのセミナー・研修の実施、学校教育との連携 ・地域連携も積極的に行い、活動の意義についても啓蒙を行っていくという。

制度活用した4製品をリニューアル

 また、国際フェアトレード原料調達制度を活用したトップバリューブランドのチョコレート、「アーモンド チョコレート」( 160g)「ひとくちミルク チョコレート」 (200g)「ひとくちクリーミー チョコレート」(184g)「ひとくちミルクピーナツチョコレート」(210g)の4製品をリニューアル。全品本体価格238円(+税)とし、価格は据え置かれる。

 海外では売場にフェアトレードの製品を扱う専門のコーナーが設けられるなど、広く浸透している同制度。日本でも社会の持続可能性へ関心は着実に高まりつつあり、今回の同社の取り組みがフェアトレード製品の普及の呼び水となる可能性は十分にありそうだ。