「コロナ時代の免疫効果」で需要伸びる高級ハチミツ・マヌカハニー 浮上した偽物問題に自主規制で対処 

2020/12/11 05:58
    上妻英夫(KIプレス)
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    「世界で最も高級なハチミツ」「ハチミツの王様」として知られるマヌカハニーの市場拡大が続いている。コロナ禍で、抗菌作用を持つマヌカハニーへの消費者ニーズが高まっていることに起因している。このマヌカハニーで、表示違反が続出して問題になっており、業界は不適当な商品を規制することで消費者の信頼獲得に動いている。マヌカハニーを巡る新たな動きをレポートする。

    マヌカハニーの商品群
    マヌカハニーの商品群

    マヌカハニーの輸入量は年々増え続けている

     「通常のハチミツよりも高いが健康効果に優れている高級ハチミツ」を求める消費者は増え続けており、高級ハチミツの市場は拡大傾向にある。それに加え、コロナ禍で個人の免疫機能を上げるために、抗菌物質を多く含むマヌカハニーへの注目が高まっている。

     高級マヌカハニーの大半は、ニュージーランドからの輸入品だ。その名が示す通り、マヌカという樹木に咲く花から採れるハチミツで12月ごろ(南半球は夏)に白い花をつけ、山が雪景色になる景観を持つ。ニュージーランドだけに自生するため、採取期間はわずか、約4週間だけ。

     現在、マヌカハニーを扱っている輸入業者は28社。日本へのマヌカハニーの輸出量は約923トン(財務省貿易統計データ、2020年調べ)で、年々増え続け、世界への輸出量(5850トン)の約16%が日本に入っていることになる。

     マヌカハニーの認知度が高まると同時に、通常のハチミツと高級ハチミツの違い、選び方を知りたいというニーズが強まっている。「α―シクロデキストリン(天然の環状オリゴ糖)」の第一人者である寺尾啓二氏(神戸大学院医学研究科客員教授、シクロケムグループの代表)は「マヌカハニーには抗菌成分のMGO(食物メチルグリオキサール)が含まれます。その含有量を示すMGO等級を開発したトーマス・ヘレン教授は『本物と偽物を見極める一つの方法が等級だ』と語っています。そうしたなか、等級をオーバーに表現する偽造品が出回ってることに私は憂慮しています」と科学者の見識から警告を発している。

     例えば、マヌカハニーは、その含有成分にフォーカスする形で、「マヌカハニーMGO100+」から「マヌカハニーMGO550+」といった表示がされる商品が市販されている。抗菌物質が多いものが数字を高く表示し、それに合わせて価格も高くなっている。日本マヌカハニー協会(東京都中央区)の事務局長の佐藤有一氏は「MGOの表示と成分の正確なものを出すのは業者の責任です。消費者に誤解されるような表示は結果的に信用を失ってしまいます。まだ自主規制の段階ですが、実際の商品に含まれるMGOの数字とパッケージに表記される数字が正しいかどうかに目を配っていきたい」と語っている。

     また「最も大切なことはマヌカハニーの愛用者の信頼を得ることで、日本マヌカハニー協会としても、ホームページで各社製品の分析値を公表し、今後も監視の目を緩めない」と語った。

     

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