低カロリー甘味料、健康意識の高まりからさらなる需要伸長に期待 Withコロナ時代の欠かせない商品に

山田陽美(ライター)
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糖尿病患者だけでなく、ダイエットや美容目的で使用する人が増えていることで安定した拡大を続けている低カロリー甘味料。とくにコロナ禍においては、健康意識がさらに高まり、需要を大きく伸ばしている。Withコロナ時代においては欠かせない商品といえそうだ。

手づくり需要拡大で3月から8月まで2ケタ増

 急激な血糖値上昇につながりやすい砂糖の使用を抑える目的で使われることの多い低カロリー甘味料。糖尿病や肥満症などのカロリー制限が必要な人だけでなく、ここ数年はダイエットや美容のために取り入れる人が増え、順調に拡大してきた。

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在宅時間の増加により、料理やお菓子づくりを行う人が増えており、健康やダイエットを意識して低カロリー甘味料が選ばれているようだ。 写真はi-stock/takasuu

 KSP-POSデータの低カロリー甘味料の期間通算(2019年10月~20年9月)の金額PIは803円で対前年同期比9.8%増。月別にみると、9月の消費税増税前の駆け込み需要の反動で、10月と11月は前年割れとなった。低カロリー甘味料は軽減税率対象商品なので増税は関係ないが、まとめ買いする動きが見られた。

 12月からは前年並みに戻っており、3月から8月までは2ケタ増。とくに4月は同27.5%増、5月は同19%増と大きく伸長した。これは糖尿病患者は新型コロナウイルスが重症化しやすいということが報道されたことで、日頃から血糖コントロールを行う人が増えたことが需要拡大につながっている。

 また、在宅時間の増加により、料理やお菓子づくりを行う人が増えており、健康やダイエットを意識して低カロリー甘味料が選ばれているようだ。Withコロナ時代においては、セルフメディケーションが重要となるため、今後も引き続き低カロリー甘味料のニーズが高まることが予想される。

低カロリー甘味料の金額PIおよび金額PI対前年推移

顆粒タイプは種類が豊富で味わいもさまざま

 形状で伸びているのが液状タイプ。冷たい飲料や料理、お菓子づくりにも使いやすいことからユーザーに支持されている。

 液状タイプでトップシェアの味の素「パルスイート®カロリーゼロ液体タイプ」は、神木隆之介さんを起用したテレビCMを投下。料理やお菓子づくりに活用することを継続して訴求している。秋にはパッケージをリニューアル。シリーズの統一感を図り、イメージカラーを強調することで商品の存在感を高めた。

 サラヤでは「ラカントSシロップ」の味とパッケージのリニューアル後、店頭での配荷が進み、好調に推移している。浅田飴の「シュガーカットゼロ」は、ぶどう糖を原料とするエリスリトールに、砂糖からつくられる高甘味度甘味料のスクラロースが原料でカロリーゼロ。ダイエットしている人や糖分が気になる人に最適だ。

 顆粒タイプでは、サラヤの「ラカントS顆粒」が市場をリード。自然派甘味料として一般のユーザーにも浸透し、SNSを活用したプロモーションにより、若年層の取り込みに成功している。

 三井製糖では、エリスリトールとスクラロースを原料にしたカロリーゼロ・糖類ゼロの「おいしくってカロリーゼロ」や、てん菜生まれの糖質パラチノースと砂糖をミックスした機能性表示食品の「スローカロリーシュガー」などを展開している。

 日新製糖では、エリスリトールに微量のスクラロースをコーティングした「ダイエットプランカロリーゼロ」を提案している。

 一般のユーザーにも浸透してきた低カロリー甘味料だが、日常的に使ってもらうために引き続き、料理やお菓子づくりでの使い方を訴求していく必要がありそうだ。

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