休校や在宅勤務の影響からクリームの上期需要が大幅増、前年の2倍の伸びも
お菓子づくりに欠かせないクリームは、休校や在宅勤務がはじまった3月頃から需要が拡大し、一時品薄になる状況となった。お菓子だけでなく料理でも活用の幅が広がっていることから、引き続き需要拡大が見込まれている。
内食化の増加で4、5月は前年の2倍
KSP-POSデータのホイップクリームの期間通算の金額PIは、1445円で対前年同期比28.8%増となった。2月までは前年並みで推移していたが、新型コロナウイルス感染拡大により、休校や外出自粛、在宅勤務の普及による内食化の増加でクリームの需要が一気に拡大。3月は同28.9%増で、4月は同105%増、5月は同119.4%増と、4、5月は前年の2倍以上の伸びとなっている。店頭では一時品薄になるほどの状況だ。
子供と一緒にお菓子やパンづくりを行う家庭が増えたことに加え、料理への活用も広がっている。レシピ検索サイトではパスタやグラタンなどのクリームを使ったメニューの検索回数が増えており、余ったクリームを飲み物や料理に“ちょい足し”する簡単な使い方も広がっている。
6月以降も好調で、9月まで2ケタ増が続いた。今回の需要増は“特需”といえるが、クリームを使ったことがないユーザーの獲得につながったことは間違いない。
味わいや用途によってクリームや純乳脂を使い分け
クリームには、生乳を分離して取り出した乳脂肪のみを原料とした「クリーム」と、乳脂肪に乳化剤や安定剤を加えた「純乳脂肪」、乳脂肪を植物性脂肪に置き換えた「植物性脂肪」などがある。「クリーム」は濃厚なコクと豊かな風味が魅力で、ケーキづくりなどに最適だが、価格が高く、賞味期限は短く、ホイップするのが難しい。その点「純乳脂肪」は、「クリーム」よりは手頃な価格で安定しているのでホイップしやすいのが特徴。「植物性脂肪」は軽くさっぱりした味わいとなっている。味わいや使い方はそれぞれ違うため、用途によって使い分けることが大切だ。
「クリーム」では、タカナシ乳業の「特撰北海道純生クリーム」や、中沢乳業の「中沢フレッシュクリームリッチ」などが代表的。タカナシ乳業では乳脂肪分47%、42%、35%を展開しており、売れ筋の35%は200mlと100mlを展開。料理などにも活用が広がっている。同社では純生クリームだからこそできる手づくりバターやアイスクリームを提案。親子で楽しくつくれるコンテンツを紹介している。
中沢乳業では、乳脂肪分45%、36%、30%を展開しており、そのほか「フレッシュクリーム45%」に比べカロリーを1/3カットした「生クリーム屋さんのカロリー1/3カットフレッシュ」を展開。乳脂肪分25%の低脂肪でありながらきれいにホイップできるのが特徴であり、カロリーが気になる人におすすめだ。
「純乳脂肪」タイプでは、明治の「明治北海道十勝 純乳脂」が売れ筋。純乳脂30%なので、泡立ちやすくケーキや料理にも使いやすいのが特徴だ。また、光から品質を守るスマートパックを採用。密封できるキャップ付きで注ぎ口が汚れずに、リキャップできるなどの容器のメリットが評価されている。
クリームの使い方が広がっているとはいえ、まだまだ限定的なので、今後はレシピ提案を強化して使用頻度アップを図っていきたいところだ。
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