出店、商品開発、事業拡大…大手も参入!いまクラウドファンディング活用が小売業で進む理由

ダイヤモンド・チェーンストア編集部
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クラウドファンディングとは、「クラウド(Crowd=群集)」と「ファンディング(Funding=資金調達)」からなる造語で、新たな商品・サービスの開発や起業などに必要な資金をオンラインプラットフォームで幅広く募り、有志の一般ユーザーが少額から資金を提供してこれを支援するというものだ。その取引規模は、世界全体で2018年時点の102億ドル(約1兆710億円:1ドル=105円で換算)から25年末までには288億ドル(約3兆240億円)に達すると予測されている。欧米の小売市場ではクラウドファンディングを活用しビジネスの拡大や新規顧客開拓を図ろうとする動きが見られるようになってきた。

クラファン活用し続々誕生!「ゼロ・ウェイスト」方式の食料品店

量り売り方式で商品を販売する「オリジナル・ウンファーパクト」
量り売り方式で商品を販売する「オリジナル・ウンファーパクト」

 クラウドファンディングは、金融機関による融資や投資家からの出資に代わる資金調達手段であるのみならず、本格的な事業化に先駆けた顧客開拓や企業ブランディングの手段でもある。実際にビジネスを本格化させる前の段階で見込み顧客を取り込むことで、一定の売上を確保してしまうという、まったく新しい販促のかたちとも言えるだろう。欧米の新興の小売企業では、クラウドファンディングを通じて資金と顧客基盤を同時に獲得し、順調な事業成長につなげている事例が出てきている。

 使い捨ての容器や包装を使用しない「ゼロ・ウェイスト(Zero Waste)方式」の食料品店をドイツで初めて開業したオリジナル・ウンファーパクト(O r i g i n a lUnverpackt)は、その先駆的存在だ。14年5月から6月にかけてドイツのクラウドファンディングサービス「スタートネクスト(Startnext)」で3998名のサポーターから10万8915ユーロ(約1361万円:1ユーロ=125円で換算)を調達し、同年9月、首都ベルリンで第1号店を開業した。パスタ、豆、米、食用油、調味料、スナック菓子などの食料品や石鹸、洗剤などの日用品がすべて量り売り方式で提供され、消費者がビンや箱、袋を持ち込んで購入するというユニークな販売スタイルは、エコロジー(環境保全)やサステナビリティ(持続可能性)への意識が高い消費者から大いに支持されている。その後16年に日用品を販売するECサイトを開設したのに続き、19年にはベルリンで第2号店を開業するなど、ゼロ・ウェイスト志向のライフスタイルをドイツ内外に発信するプラットフォームとして着実に成長している。

 クラウドファンディングによって生まれたゼロ・ウェイスト方式の食料品店は「オリジナル・ウンファーパクト」のみにとどまらない。17年に

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