国内外に大型ショッピングモールを展開するイオンモール(千葉県/岩村康次社長)。ショッピングセンター(SC)業界は新型コロナウイルス(以下、コロナ)の感染拡大による外出自粛や3密回避の動きによって大きな打撃を被ったが、イオンモールは地域性をより打ち出した販促施策や、アプリの全面リニューアルなどデジタル技術を活用した取り組みによって集客力・売上の向上を図ろうとしている。岩村社長に戦略を聞いた。
「地域性」をより重視したマーケティングに転換
──コロナの感染拡大に伴い、モール内の販売動向や来店客の消費行動に何か変化は生じていますか。
岩村 緊急事態宣言が解除され順次店舗の営業を再開した6月から7月前半にかけては、いわゆる「リベンジ消費」が見られました。飲食や、シネマ、ゲームセンターのようなアミューズメント施設などはまだ先が見えない状況でしたが、アパレルや雑貨を含めた物販は好調に推移しました。販促セールの効果もあり、売上高が前年実績を超える日も出てくるなど、予想以上の回復を示していました。ところが、7月中旬頃に再び感染者が増え始めると、お客さまの行動が一変しました。感染拡大が顕著だった地域では人の流れそのものが変わり、とくに8月はわれわれが想定した以上に売上が低迷しました。ただ、感染者数が減少に転じた9月以降は再び回復傾向が見られ、同月の来店客数は対前年同月比85%、とくに飲食、シネマ、アミューズメント施設が回復している状況です。
──コロナの世界的な流行によって、消費者の生活様式や買物行動は大きく変化しつつあります。既存のマーケティング戦略に影響はありましたか。
岩村 これまではイオンモールという1つの企業としてテレビCMや広告、セールや各種イベントを企画・実施してきました。しかしコロナ禍においてはモールごとの「地域性」を重視するようにし、その地域のニーズに合わせたイベントを行うようにしました。たとえば、
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