ギフト化、個食化、ヘルシー化…コロナ禍でおせち商戦にも変化?

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非接触ニーズからネット注文の比重高く

 また、コロナ禍ではおせちの注文・購入方法にも変化が見られる。おせちの販売に関しては従来、百貨店や食品スーパーなどの実店舗で特設コーナーを設けて注文を受けるケースも多かった。しかしコロナ禍での“非接触ニーズ”の高まりを受け、ネット経由の注文が例年に比べても増える見込みだ。出版社のハースト婦人画報社が、同社のお取り寄せサービスのユーザーを対象に行った調査によると、21年のおせちは「通販・ネット注文」を介して予約するとの回答が57%に上っている(複数回答)。

 小売各社もネット販売に力を入れており、たとえばイオンでは同社のショッピングサイト「おうちでイオン イオンショップ」でのおせちの受注可能件数を昨年の約2倍に増強。さらにネット注文限定で、イオンマークのついたクレジットカードの支払いに対してポイント5倍を付与するキャンペーンも実施する。

「巣ごもり正月」ならではのリスクも

 ただ、年末年始も一定の巣ごもり需要が見込まれるとはいえ、小売各社の「おせち商戦」が好調一色かというと、そうとも断言できなさそうだ。
 前出のハースト婦人画報社の調査によると、来年の正月に向けておせちを購入すると答えた人は全体の57.3%。調査対象者数が大幅に異なるため単純比較はできないが、前年の同じ調査では65%超だったことに鑑みると、21年は「おせちを購入する」という行動については、ややダウントレンドの傾向がうかがえる。
 考えられる要因の1つとしては、家族が分散して年末年始を過ごすことで、おせち料理を簡素化、あるいは食べないという選択肢をとる消費者の存在が挙げられる。また、コロナ禍で景気全体が低迷するなか、豪華絢爛なおせち料理を購入する余裕のない消費者も一定数いるだろう。このほか、コロナ禍では在宅期間が増えたことで内食回帰の傾向が指摘されているが、年末年始も時間をかけておせち料理をつくってみる、という行動も想定できる。
 いずれにしても、今年は例年とは装いの異なるおせち商戦が展開されることは確かだろう。“おせちのニューノーマル”が確立されることになるのか注目だ。

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