カテゴリー全体を活性化する新商品の開発に期待、注目商品ピックアップ=2020年秋冬 注目マーケティングトレンド

ダイヤモンド・リテイルメディア 流通マーケティング局
Pocket

【健康訴求商品】栄養強化に加え糖質オフで需要を獲得

日本ケロッグ「1日分のマルチビタミングラノラ 糖質オフ」、森永乳業「PROP プロテインヨーグルト プレーン味」、明治「TANPACT チーズビスケット」、Mizkan「フルーティス」ざくろラズベリー

 健康志向を背景に健康訴求型の商品が伸長しており、新しい商品も毎年、発売されている。withコロナ時代において、セルフメディケーションはますます重要な課題で、食に対する関心はますます高まることが予想される。

 日本ケロッグは、大人の女性に人気の「グラノラ」シリーズから、1食40gに1日分のマルチビタミンが含まれている糖質オフのグラノラ「1日分のマルチビタミングラノラ 糖質オフ」を7月に期間限定で発売。朝食で、手軽にマルチビタミンが摂取できる商品で、しかも小麦ブランを練り込んだブランパフ、穀物の甘みとコクのあるオーツパフ、甘味を感じるコーンパフといった糖質量の低いパフを採用することで、糖質オフを実現した。1食の糖質量を19.8gと、適正糖質範囲に設定することで、糖質摂取が気になる女性にも訴求する。

 一方、アスリートだけではなく、ダイエット中の女性や成長期の子供、低栄養になりがちなシニア層まですべての人にとって必要な栄養素である、たんぱく質を多く含んだ商品の市場は右肩上がりで成長を続けている。そこで明治では、日本人の低栄養という課題解決をめざし、春に日常的に摂取できるもので質のいいたんぱく質が摂取できるブランドとして「明治TANPACT」を開発。全カテゴリー横断で取り組んでいる。6月には「明治TANPACTビスケット」と同「ミルクチョコレート」を追加している。また、森永乳業では「PROPプロテインヨーグルトプレーン味」を7月に発売した。牛乳由来のプロテイン10gをおいしく手軽に摂ることができる。ドリンクヨーグルトなので、食事中や仕事の合間、トレーニング前後など、さまざまなシーンで摂りやすい。幅広い年齢層をターゲットに訴求していく。

 健康素材として定着している食酢だが、18年はテレビ番組で紹介されたことで勢いがつき、なかでもトライアルしやすいストレートのドリンクタイプが好調だ。

 Mizkanでは、フルーティで飲みやすい、りんご酢ドリンク「フルーティス」ブランドを展開。りんご酢に果汁を合わせ、こだわりのレシピで酸味はやわらかに、甘さは控えめに仕上げた。薄めて飲む濃縮タイプとそのまま飲めるストレートタイプを展開。濃縮タイプは水や炭酸水、牛乳で割るなど好みの飲み方で楽しめる。濃縮タイプの「フルーティス シャルドネ」が好評なことから、秋冬に向けて、ストレートタイプを追加発売し、ラインアップ強化を図る。手に取りやすく飲みやすい商品を発売することで、食酢ドリンク市場のさらなる活性化を図る。

健康意識の高い女性に訴求

くらこん「くらこん ハムス」、オリジナルロッテ「乳酸菌ショコラ」

 健康意識の高いアメリカのセレブやモデルの間で注目されているハムス。栄養価の高いひよこ豆を茹でてペースト状にし、香辛料で味つけしたスーパーフードだ。高たんぱく、低カロリーのハムスは日本でも受け入れられることを見越して、くらこんでは「KURAKONHUMMUS(くらこん ハムス)」を発売。クミンやガーリック、レモン果汁などで味つけした「オリジナル」のほか、唐辛子でピリッと辛く仕上げた「マイルドスパイシー」、トマトの旨みや酸味にバジルの香りを効かせた「トマト&バジル」に加え、9月には4種類目のねりごまとゆず果汁などで味つけした「ユズ」を新発売。添加物不使用でフレッシュなおいしさにこだわったため、チルドで提案している。

 一方、腸内環境を整えることが健康や美容につながることから、乳酸菌を食生活に取り入れる人が増えている。なかでも時間や場所を選ばず食べられるチョコレートが好評だ。ロッテでは「乳酸菌ショコラ」ブランドを展開しており、この秋は価格・品質・デザイン・ラインアップを一新。従来の「乳酸菌T001」と食物繊維に加え、オリゴ糖を新たに配合し、1日の摂取目安も従来の7枚から4枚に減らし、手頃な価格に変更する。ラインアップは「ミルク」に加え、「ストロベリー」「カカオ70」「3種アソートパック」を品揃えした。

 パッケージでは、「デザート&サプリメント」と記載。健康イメージの強いサプリメントで、効果・信頼感を高めつつ、デザートとしてチョコレート本来のおいしさも訴求している。さらに裏面では、生きたまま腸に届ける製法「チョコブロック製法」の説明をしっかり行い、理解を深めている。

【リブランディング】時代のニーズに合わせて容器やデザインを変更

明星食品「明星 チャルメラ5食パック」、雪印メグミルク「Bottlatte & Go」カフェラテ、宝幸「日本のさば」水煮、ロッテ「ラミー」「バッカス」

 ロイヤルユーザーに支えられ、定番商品として市場に定着しているメーカー各社の主力ブランド。時代のニーズに合わせてリニューアルすることで、長く愛されるブランドに成長している。

 1966年に発売され、絶えず商品に磨きをかけてきた明星食品の「明星チャルメラ 5食パック」は、8月31日にリニューアル。今回、従来の秘伝のスパイス(小袋)をそれぞれ強化。好みに合わせて自分流に調整できる味わいを訴求するため、パッケージ正面にアイコン、側面にはこだわりアレンジメニューを記載した。

 雪印メグミルクのたっぷりボトルで楽しめる本格ラテの「Bottlatte」シリーズの容器を持ち運びしやすいスリムな形状の容器(300ml)に変更し、「Bottlatte & Go」として3月にリニューアルした。簡単に開封できる内フタがないキャップに変更。中身もより本格的な味わいを追求した。もっと気軽にシーンを限定せず楽しんでもらうために、利便性や携帯性を向上させた。同社ではトライアル促進とロイヤルユーザー育成を目的にSNSでコミュニケーションを図っていく考えだ。

 一方、宝幸では「日本のさば」をリニューアル。国内産さばを使用していることをわかりやすく訴求した。パッケージでは青森県八戸にある自社工場で製造している点を訴求し、相性のよい野菜などを付け合わせた盛り付け写真を載せ、手に取りたくなるイメージにした。今、注目されている「DHA」「EPA」に加え、「カルシウム」の値を表記。加熱した調味液を充填することで、味噌煮は風味よく、とろみのあるみそだれに、味付は風味のよいしょうゆだれに改良した。

 冬の定番の洋酒チョコレートとして市場をリードしてきたロッテの「ラミー」と「バッカス」。熱烈なファンに支えられてきたブランドだが、間口拡大が課題となっていた。そこでこの秋にリニューアルを実施。「ラミー」は厚さを1㎜アップし、濃厚な生チョコとボリューム感を高めた。「バッカス」は、ブランデー中51%のコニャック量を60%までアップし、ブランデーのしっかりした風味に仕上げた。パッケージもスタイリッシュで高級感のあるデザインに刷新。また、「ラミー」は個包装化し、「バッカス」は前開きのリクローズカートンにして、利便性を高めた。

 さらに新規ユーザーを獲得するため、お酒が苦手な人でもトライアルしやすい低アルコールの新フレーバーを秋冬に向けて発売する予定だ。

1 2 3

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態