ローリングストック=食べながら備える新しい備蓄方法
4割を超える家庭が3日分の食料ストックがないと回答

今年4月7日の緊急事態宣言を受け、在宅時間が長くなり、備蓄食の必要性がより高まっている。デイリーストックアクション実行委員会は、「外出自粛制限期間中の食に関するアンケート調査」を2020年5月7~25日に実施。その結果、3日分の食料ストックがない家庭が4割を超え、5人に1人は何がストック向き食品かわからない、と答えている。外食中心の人や都心部などの近所にSMやコンビニエンスストアがある人ほどストック意識が薄いようだ。ただ、昨年、関東地方に台風が上陸する前日に食料品が棚から消える事態が起こるなど、食料を調達しやすい都心部でもこうした事態は起こっている。
自粛期間中の食の困り事は、「毎日献立を考えること」と回答した人が最も多く、調達する食料品についての困り事は、「大量に買った食品が冷蔵庫に入らない」と答えた人が約3割にもなった。冷蔵・冷凍品だけでは冷蔵庫が満杯になってしまうようだ。
冷蔵庫の詰め込みすぎを防ぐためにもレトルト食品や加工食品などの常温保存食品をふだんの料理に取り入れることが大切。実際にこれらの常温保存食品はどれくらい使われているのか聞いたところ、約7割の人が継続的に活用していることがわかった。ただ、防災の観点からみて十分な日数分のストックができているわけではなさそう。また、常温保存食品を買わない人たちの多くが、常温保存食品に対して「添加物や防腐剤が多そう」「栄養価が低そう」といったネガティブなイメージを持っていることがわかった。
さらに備蓄食品として思い浮かぶ食品を聞いたところ、「カップラーメンなどの即席麺」が88.1%とトップで、「カレーなどのレトルト食品」が84.8%、「開けたらすぐに食べられる缶詰・瓶詰」が83%と続く。備蓄食品といえば「すぐに食べられるもの」というイメージが強いが、春の外出自粛制限のように、家で過ごす時間が長いということは、調理ができる状況にあるということだ。その結果、自粛期間中はお好み焼粉やホットケーキミックスなど、家庭で調理する食品が売れた。
非常時対策だけでなく日常のトラブルにも対応
防災食は地震や台風などの災害時だけに役立つものではなく、DSAでは、「大きな災い(非常時)」と「小さな災い(日常)」の2つの対策を提唱している。
近年、専業主婦よりも働きながら子育てをしている人のほうが多くなり、家事や育児、仕事など、女性の負担が大きくなっている。日々、奮闘している女性たちに起こるのがプチトラブル。「子供が急に具合が悪くなった」や「大雨が降って小さい子供を抱えて買物に行けない」など、プチトラブルは日常茶飯事だ。こうした時、簡単に調理できるストック食品があれば乗り切ることができる。
「家事や育児、仕事と女性の負担が大きいのに、レトルト食品を活用した時短メニューに対して、罪悪感を持つ人が多いようです。そういう人には、『小さな防災訓練の日』として、備蓄食を使った料理を食べる日を設けてもらいたい。備蓄食を回転させることができますし、実際に食べることで家族の好みもわかってくるので一石二鳥です」と、DSA実行委員会委員長・池上紗織氏。
売場活性化のためのMD EDITION の新着記事
-
2025/05/24
冷凍食品、多様化する消費者ニーズにこたえ コロナ禍明けも堅調に推移 -
2025/05/23
日本酒市場、食品とのクロスMDを強化し、日本酒とのタッチポイントを増やす -
2025/05/23
精肉1人当たり購入金額は減少傾向、簡便性や付加価値の訴求が活発化 -
2025/05/22
減塩商品の食卓出現頻度は増加傾向に、卓上調味料のニーズがとくに高く -
2025/04/07
菓子市場、物価高で食品全般が厳しいなか堅調も、カテゴリーごとには明暗 -
2025/04/07
スンドゥブ市場、韓流ブームを追い風に24年も市場は堅調に推移
この特集の一覧はこちら [164記事]

関連記事ランキング
- 2025-06-022024年秋・冬新商品「消費者の節約志向」に打ち勝つ食品・飲料が持つ強み
- 2025-06-07ギフト市場、定番のギフトは縮小傾向 カジュアルギフトの需要拡大がカギ
- 2025-05-24冷凍食品、多様化する消費者ニーズにこたえ コロナ禍明けも堅調に推移
- 2024-02-20ロカボは1日の血糖値が安定する朝食から始めるのがベスト
- 2024-03-08「おうち居酒屋」ブームも継続、食中酒提案で楽しく豊かな家飲み時間を創出
- 2020-10-23サミットが仕掛けて大人気に!青果売場のインストアサラダはいかにして人気商品となったのか?
- 2021-06-24食用油、家庭内調理機会の増加で20年度の市場規模は1600億円を突破
- 2023-01-21ヤマモリ 三林圭介社長、「ベンチャースピリット」で変革への挑戦を加速する
- 2024-03-08ハム・ソーセージ市場、23年の市場は回復基調 家飲みのおつまみ需要が下支え
- 2024-08-16カレー市場、時短・簡便・本格感を備えた新しいルウカレーが台頭
関連キーワードの記事を探す
カゴメとロック・フィールドが新たな業務提携 「野菜」を切り口に2社が連携を深める理由
2024年秋・冬新商品「消費者の節約志向」に打ち勝つ食品・飲料が持つ強み
管理栄養士の98%が「マンナンごはん もち麦・玄米入り」をすすめる根拠
ドレッシング市場、サラダ以外の汎用使いが浸透、野菜高騰下でも堅調に推移
アイスクリーム市場、記録的な猛暑や長引く残暑で24年も市場は好調を継続
減塩商品の食卓出現頻度は増加傾向に、卓上調味料のニーズがとくに高く