カテゴリーフォーカス:輸入フルーツ、手頃な価格が支持され輸入量は増加基調

ダイヤモンド・リテイルメディア 流通マーケティング局 文=山田陽美(ライター)
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フルーツ全体の消費量がゆるやかに減少傾向にあるなかで、輸入フルーツの需要は伸長している。手頃な価格や食べやすさなどがユーザーに支持され、輸入量を伸ばしているようだ。輸入フルーツ全体のトレンドを探った。

スーパーの売り場
画像はi-stock/Hispanolistic

マーケットトレンド

バナナとパイナップルは年間を通して安定供給

食物繊維やたんぱく質、ビタミンB群、葉酸、β-カロテン、ミネラルなどの栄養素がバランスよく含まれているバナナは、日本でいちばんよく食べられているフルーツだ。年間を通して安定供給できるため、価格が比較的安定しており、購入しやすいのが特徴だ。

 財務省貿易統計によると、月別(2019年5月~20年4月)のバナナの輸入金額は、前年割れの月もあるが全体的に安定している。とくに7月は対前年比15.7%増、9月は同11.4%増と2ケタ増となった。バナナは朝食やおやつ、小腹が空いたときなどに最適で、手で簡単に剥けるため、年間を通して安定した需要となっている。

 ドールでは、バナナに含まれるGABA(ギャバ:γ-アミノ酪酸)に着目。ドールのバナナ9品目が、血圧を下げる機能があるGABAを含むとして、消費者庁に届出された。ドールのバナナ9品目を5月から店頭で機能性表示食品として訴求している。従来の栄養価に加え、血圧が高めの人に向けて訴求することで、さらに需要が高まりそうだ。

 バナナに次いで輸入量が多いのがパイナップル。甘酸っぱくておいしいパイナップルは栄養価も高く、食物繊維やビタミンB1をはじめ、ビタミンA、ビタミンC、クエン酸、カリウムが豊富だ。しかもコストパフォーマンスも高いのが特徴。中玉サイズの加食部は800g程度で、1回あたり100g食べることを想定すると8回分にもなる。

 パイナップルの19年5月から20年4月の月別輸入金額は、全体的に前年割れの月が多くなっている。とくに5月と8月は2ケタ減となった。年間を通して安定的に輸入されているパイナップルだが、南国のフルーツのイメージがあるため、夏場の需要が高く、11月~2月の冬場の需要はやや低くなっている。

 ドールでは夏に向けて、「家でも楽しい!!パイナップルBBQ」をテーマに、ホットプレートで楽しむバーベキューを提案している。生のままはもちろんだが、焼くことでより甘さが増す「焼きパイン」で、新たな需要の掘り起こしを行っていく。

バナナ&パイナップル図表

キウイやぶどうは輸入量が伸長傾向

 バナナ、パイナップルに次いで輸入量が多いのがキウイフルーツだ。ビタミンCや食物繊維、カリウムなど、多くの栄養素がバランスよく詰まっている。ニュージーランド産のキウイを販売するゼスプリインターナショナルジャパンでは、サンゴールドとグリーンの2種類の品種を展開。春からはインパクトのあるテレビCMやWEB動画などを配信し、キウイのおいしさや健康感を訴求している。

 一方、ここ数年消費量が伸びているのがぶどう。種がなく皮ごと食べられるものが中心に人気となっている。指が汚れず、スナック感覚で食べやすいことから幅広い年齢層に支持されている。価格や食べやすさが今後も需要拡大のキーポイントになりそうだ。

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