“売れる”POPを簡単に作れる!自社の商品を「ニュース」にするための言葉5カ条

2020/06/25 05:55
川上徹也 コピーライター

弱点もニュースになる

 新商品でなくても、消費者の価値観を変えるニュースをつくることはできます。アメリカの老舗食品メーカーのハインツ社の例をみてみましょう。ハインツのトマトケチャップの歴史は古く、第二次世界大戦までは圧倒的なシェアを誇っていましました。

 戦後、ファストフードの普及によりケチャップの需要は大幅に伸びます。そんな中、1960年代になると同じケチャップを扱うライバル、デルモンテやハンツなどが追い上げ、ハインツのシェアは急落しました。

 当時のケチャップは瓶づめです。ハインツのケチャップは水分が少なかったので、なかなか出てこないという欠点がありました。ビンを逆さまにして底をたたく必要があったのです。

 それに比べると、他社のケチャップは水分が多いので簡単に出てきます。使用者のストレスは大きく違いました。他社はハインツの弱点をついてきたのです。

 これに対抗するには、ケチャップの成分を出てきやすい液状に変えるしかありません。しかしそれではハインツらしさがなくなる。ハインツはその戦略をとりませんでした。弱点をニュースにしたキャッチコピーで世の中の価値観を大きく変えたのです。

それは

ハインツのケチャップは、
おいしさが濃いからビンからなかなか出てこない。

というフレーズでした。

 そのキャッチコピーを元にいくつものCMや雑誌広告が作成されました。たとえば、ケチャップレースというテレビCM。ライバル他社のケチャップとビンを逆さまにしてどちらが早く出るかのレースをし、それをアナウンサーが実況するというものです。当然、ライバル社の方が早くビンから全部出ます。ハインツの負けです。でもそれは「ハインツはおいしさが濃い」から負けたと実況するのです。

 この1行と視覚的に印象深いさまざまな広告によって、それまでケチャップがなかなか出てこないことにイライラしていた利用者は、「それはおいしさが濃いからだ」という認識に変わったのです。最大の弱点と思われたものが最大の魅力になったのですね。ハインツはこの1行によってシェアを急速に取り戻しました。

 このように弱点と思われることでも、言葉の力で、最大のセールスポイントにしてニュースにすることは可能なのです。あなたの扱っている商品でもぜひ考えてみてください。

 

・プロフィール

川上徹也(コピーライター 湘南ストーリーブランディング研究所代表) 

大阪大学人間科学部卒業後、大手広告会社勤務を経て独立。東京コピーライターズクラブ新人賞、フジサンケイグループ広告大賞制作者賞、広告電通賞、ACC賞など受賞歴多数。中でも、企業や団体の「理念」を1行に凝縮し旗印として掲げる「川上コピー」が得意分野。「物語」の持つ力をマーケティングに取り入れた「ストーリーブランディング」という独自の手法を開発した。
著書は『物を売るバカ』『1行バカ売れ』『コト消費の嘘』(角川新書)、『キャッチコピー力の基本』(日本実業出版社)『売れないものを売る方法? そんなものが本当にあるなら教えてください』(SB新書) など59万部突破。海外にも多数翻訳されている。

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