コロナウイルス禍で需要急増!D2Cのサブスク完全栄養食宅配モデルのベースフード

兵藤雄之
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在宅勤務きっかけにランチ需要急増 

 ベースフード社のビジネスは、D2C(Direct to Consumer;自社開発した商品を自社チャネル中心に販売する)によるサブスク型(定期購入)が中心だ。日米ともに、自社オンラインストアで販売している。主なターゲットは仕事や家事に忙しく、食生活に気を配る余裕のない2040代のビジネスパーソンや女性層だが、最近では子どもたちが巣立っていったシニア世帯からの利用も増えている。そのうち8割がサブスクを利用している。

ベースフードの橋本舜社長
ベースフードの橋本舜社長

 今回の新型コロナウイルスの影響もあって、新規の注文、問い合わせ件数も増えているという。

「在宅勤務をきっかけに、ランチ用にベースフードの購入を始めたお客さんもいる」(同社)

 また、先日、ある「子ども食堂」(食事に困っている子どもたちに、無償もしくは安価で食事を提供する)にベースフードを提供したところ、「このところ調理ができない食材が多く、栄養の偏りが心配だったが、ベースフードなら安心して食べさせられる」と喜ばれた。

 米国でも、スタンフォード大学のある院生から「外出禁止令のため食材の調達ができず困っている」という声を聞き、院生全員にベースフードを寄贈。

「『食料がなかったから助かった』というお礼だけでなく、『おいしい料理を楽しめた』とうれしい声も届いた」(同)。

 同社が実践するD2Cモデルの場合、製品は「一度つくればそれで終わり」ではない。日常的に顧客との接点をもち、製品の改善・改良につなげている。

 販売開始当初、約2ヵ月の冷凍保存だったベースブレッドは、その後、常温で約1カ月の保存が可能なロングライフパンにリニューアルされた。おいしさのマイナーチェンジ、サービスの向上も常に行なわれている。

 ベースフード社は「主食をイノベーションし、健康をあたりまえに」をミッションとして掲げている。

完全栄養食のベースヌードル
完全栄養食のベースヌードル

 

 5000年前からほとんど変わっていない「小麦粉100%」というパンや麺づくりの制約を取り払い、いろいろな原材料を混ぜて「完全栄養食の世界一おいしいパンや麺として提供」し、健康格差(知識や忍耐力、お金のある人ほど、健康を手に入れやすい環境)をなくし、「意識しなくても、ふつうに主食を食べていれば健康でいられる」社会をつくる、といった意味だ。

「世界一おいしいパンや麺が完成するのは10年後になるかもしれないが、ファイナンスで投資家から得た資金と、サブスクモデルで積み上がる利益を両輪に積極的に攻めていきたい」

 橋本舜社長率いるベースフードは、今日よりも明日、明日よりも明後日と、日々、確実にその成長のギアを上げている。

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