米糠ドリンクに乳酸菌入り玄米 神明、キッコーマンが手掛ける新機軸

兵藤雄之
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食の老舗企業が、食と健康にフォーカスした新規事業の展開に積極的だ。
かたや、明治35年(1902年)創業、今年(2020年)で創業118年目を迎える神明ホールディングス(兵庫県/藤尾益雄社長)、かたや大正6年(1917年)設立のキッコーマン(千葉県/堀切功章社長)だ。両社の新しい動きに注目した。
(本稿は、「第3回美容・健康食品EXPO」(2020年1月20日~22日の3日間、幕張メッセで開催>での取材を元にしています)

Photo by bungoume
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栄養豊富な「飲める米糠」を開発

 神明ホールディングスは、米穀卸売業種の中で売上・シェア日本一。2015年にはすしチェーンの元気寿司を傘下に入れた。

 同社グループで精米業を運営する神明きっちん(兵庫県/藤尾益人社長)では、国内産の米ぬかを100%使用した「飲める米糠」を開発・販売している。

 玄米に含まれる栄養の80%は、ぬか部分に含まれるといわれている。

 ビタミンB群を多く含むため、明治期には脚気に効果があるとされた。ぬか漬けのぬか床として使用されるのも、米糠に含まれる栄養価の高さからだ。

 現在、米糠の活用方法でもっとも多いのが、米油の原料としての利用。その絞りかすは、家畜等の飼料として使われることが多い。ぬか床として、一般家庭で使用されるのはほんのごく一部だ。実際のところ、米ぬかの大半は廃棄物になっている。

 つまり、米ぬかのもつ力を十分に活用できていないということだ。

女性が多く訪れた「第3回美容・健康食品EXPO」における神明きっちんのブース

 神明キッチンは、そこに着目した。

 従来、米油の製造方法は、「米ぬかから完全に油分を抽出するために、ヘキサンという薬剤を使用」する抽出製法が一般的だった。しかし、この方法では、米ぬかの搾りかす(脱脂米ぬか)にヘキサンが残るため、食品としての使用が難しかった。そこで、同社では、精米直後の新鮮な米ぬかを圧力と熱のみで抽出する独自の圧搾製法「ナチュラルプレス」を開発、薬剤完全不使用の食品素材として利用可能な脱脂米ぬかを取り出すことに成功した。

 その脱脂米ぬかを水に溶けやすい粉末タイプに加工したのが、同社の『飲める米糠』だ。

 腸活に必要な食物繊維、デトックス効果のあるマグネシウム、女性に不足しがちな鉄分、葉酸、ビタミンB1などの栄養素、米特有の美容成分γオリザノールが豊富に含まれている。飲み物に溶かしたり、料理に混ぜ込んだり、好みの方法で、毎日の食事に取り入れることも簡単だ。

「原材料となる米ぬかはふんだんにある。量産設備も整いつつある」(担当者)

 廃棄物の有効活用×健康・美容で、神明グループは女性をターゲットにした新市場の掘り起しを図る。

 

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