【ホームセンターバイヤーが選ぶ年間ヒット商品2020】DIY:パワーツール部門

ダイヤモンド・リテイルメディア 流通マーケティング局
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30年以上の自社独自の蓄電池技術「マルチボルト」の技術が数々の賞を受賞

パワーツール業界におけるコードレスタイプの比率は、需要の高まりと蓄電池の性能アップがあいまって、この数年高まっており、現在約4割である(全世界ベース)。工機ホールディングスによると、2年後の2022年にはこの比率が約5割に達する勢いだ。

これまでパワーツールは製品の電圧が異なれば、蓄電池も同じ電圧のものを用意しなければならなかった。

そこに風穴を開けたのが、同社の「マルチボルト」である。

当初は、取り回しのよい、小型、軽量、かつ高出力をめざし、36Vタイプに対応する蓄電池の開発を視野に入れていた。しかし当時、プロが使用するパワーツールは18Vが主流だった。そこで、同じ蓄電池で36Vと18Vタイプの異なる機器でも対応できる蓄電池を開発した。それを実現できたのは、同社が30年以上にわたり、一貫して蓄電池の開発を自社で行い、技術ノウハウの蓄積を培ってきたからだ。

高出力セルの採用で、1kWクラスのパワフルな出力を実現。さらに、業界唯一となる電池保証(購入から2年間または充電回数1500回まで保証)も付けた。

「マルチボルト」は、各方面からも高い評価を得ており、モノづくり日本会議と日刊工業新聞社が主催する「“超”モノづくり部品大賞(18年)」の電気・ 電子部品賞を受賞。他にも、「第66回電気科学技術奨励賞(18年)」を受賞したり、発明協会が主催する「令和元年度関東地方発明表彰(19年)」において、「電池パック保証システム」特許が「茨城県知事賞」を受賞している。

社名とブランド刷新の告知と、電圧の異なるタイプにも対応する機能を訴求したトップボード

メーカー(担当者) のコメント
ワンチームで市場の拡大を図るさらに出力の高い製品開発も

担当者
左から、井岡慎治氏、仲野義博氏、筒井英樹氏

「お客さまは何を求めているのか」をテーマに、工機ホールディングスは「開発、マーケティング、営業がワンチームとなって」市場拡大に取り組んでいる。研究開発本部・第二設計部長の仲野義博氏は「お客さまはパワー、取り回し、耐久性、精度の4つを求めています。将来的にはパワーツールすべてがコードレスになると考えています。マルチボルトは1kW。今後はさらに電力の高い製品にも対応できる蓄電池開発を進めていくことが目標です」と、マルチボルトの先を視野に入れた目標を語っている。

プロダクトマネジメント室Japan PM部長の井岡慎治氏は、グローバルベースでの製品ポートフォリオの最適化を実現し、製品競争⼒の増強と顧客ニーズにマッチした製品の企画開発を追求するために、プロダクトマネジメント室を18年8月に立ち上げたことに触れて「多種多様なシーンで使用されるパワーツールが、今後どう求められていくのかを市場調査し、それを開発や営業にフィードバックしていきたいと思います」と語る。

日本事業統括本部・HC推進部・HC企画チームリーダーの筒井英樹氏は、「プロの職人さんが、購入チャネルとしてHCを選択する機会が加速しています。新しい需要をキャッチし、現場との接点を持つホームセンター(HC)さまと協力しながら、店頭で製品を確認する機会を望むプロの職人さんを取り込んで、市場拡大に向けて尽力していきたい」と、HCとのワンチームの取り組みの大切さも語っている。

ホームセンターバイヤーが選ぶ年間ヒット商品2020一覧

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